隣神おりますかー?
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ま通り過ぎる。あんなニュースは日常茶飯事である。余り普段は思わないが、ああいったニュースを聞くと日本に生まれて良かったと思える。
良いトコどりで緩やかにのほほんと。そもそもが八百万と言われる程の多神教。何でもオッケーな土壌で当人に意識がない。そんな日本では戦争などもなく、神が現れる前から余り変わってないレベルである。争いが嫌で逃げてくる人も増えたらしく、渡航規制や移住の審査が厳しくなった点では影響が出たくらいだとか。
ブッダとキリストが立川で同棲生活しちゃうぞー。そんなレベルである。
もしかしたらだが、クーちゃん一家もそのへんの理由で来たのだろうか。もしそうなら、と思うと聞く気にはなれない。いつも十字架を持っているクーちゃんと何もない私。生まれた環境の差はどうにか出来るものではない。
暫くしてクーちゃんと別れ、私は帰宅した。お出迎えのニャーを撫で付けようとしたがネコパンワンパンされてニャーは去っていった。どうやら他の猫の匂いが気に入らなかったようだ。石鹸で入念に洗わねばなるまい。
「おう、お帰り」
「ただいま」
居間で寝っ転がっていた兄に答えニャーを探す。ニャーは座布団の上で丸まり不機嫌そうに尻尾をフリフリしていた。というわけでツナサンドの残りを見せびらかしてみる。尻尾がゆっくりになった。これはイケル。
許してやるぜ、みたいにのっそりとやってきたニャーがツナサンドをパクつく。
「優しい妹よ、俺の分は?」
「あるわけ無い」
「次来た時クリスちゃんにあることないこと吹き込んでやるからなお前」
「ザッけんなよおい。うちの兄は変態だから近寄るなって言っとくから」
クーちゃんの貞操は私が守らねばなるまい。非情な決断も時には必要なのだ。
私は寝転がり、満足したらしいニャーを腕を伸ばして上に掲げる。
野良よりニャーの方が上だなと確信する。そして思うのはクーちゃんと猫をなでていたこと、その後のニュースのこと。
やはり平和が一番で、争いは嫌いだ。クーちゃんとダラダラした毎日が送れて、ニャーを撫でて兄と口喧嘩をして母の料理を食べて眠れればそれが一番だ。そしてそんな毎日は続いていくの だろう。テレビの向こうを見れば果はないが、この国ではその影はほとんど見えないのだから。
飽きたのか暴れて逃げていったニャーを見送り、私は座布団の上に寝転がる。襲ってきた眠気と戦いながら、ポイントを確認する。このままではまた罰があるかもしれない。前の罰は何だったろうか。二時間正座か坐禅か。それとも写経、神の教えについて書かれた本の感想文だったろうか。生みの親の手伝い三日というのも面倒だった。
だが、そんなものなのだ。体の奥まで浸透した、けれど薄い信仰心。それが信仰だとさえ認識でき
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