臨海学校 後編
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痛みによる叫びがこだまする。白式自体エネルギー残量は多くなかったあの状況で、あれほどまでの光弾の嵐を喰らえば容易に想像はついた。
「一夏! 一夏ぁ!!」
箒は自らを立てとして自分を守った一夏の名を呼ぶが、一夏は既に目を閉じていた。息はあるようだがそれでも彼の状態はひどかった。
「一夏! 目を開けてくれ一夏!!」
再度名を呼ぶが一夏は反応しない。
そしてまた、福音から光弾が放たれた。
……やられる!!
箒は一夏を抱きしめ、守るように抱くが光弾の雨はいっこうに降り注いでくる気配はなかった。なぜならば、
「あっぶねー。ギリギリ……でもねぇか。悪いな篠ノ之、遅くなった」
夜天月を駆りその巨大な左腕で二人を守る響の姿があった。
「篠ノ之、一夏は?」
響が聞くも箒の返答は帰ってこない。
「篠ノ之箒!!!!」
「はっ! す、すまない。い、一夏はなんとか息を続けているが重症だ。このままでは……」
「ちっ! やっぱりかよ」
響は毒づきながらオープンチャネルを開く。
「織斑先生! 一夏が負傷しました。重態のようですがどうしますか!?」
『なんだと!? くそっ! やむ終えん、鳴雨! 二人を連れて帰投しろ!』
「了解。……聞いたとおりだ、篠ノ之この空域から離脱するぞ」
響はなおも降り注ぐ光弾の雨を防ぎながら箒に告げる。彼女も涙目になりながら頷く。
……しかし、この攻撃の中どうやって二人を逃がすか。
未だに福音は攻撃の手を休めようとはしなかった。先ほどから光弾をひっきりなしに放ってきているのだ。
……このまま一夏をほうっておくわけにもいかねぇ。どうする。
「だけどやっぱ、この手しかねぇよな」
響は後ろを一瞥すると箒に告げた。
「篠ノ之。私が囮になる、その隙に安全な空域まで離脱しろ」
「あ、ああ。わかった。響は……?」
「すぐ追いつくさ。いいかヤツの攻撃がやんだらなりふり構わずとにかく全速で駆け抜けろ。後ろを決して振り返るな」
響の命令に箒は深く頷いた。
そして数秒後、光弾の雨がやんだ。
「今だ! 行けぇ!!」
声と共に箒は一気にその場から離脱した。
同時に響も福音に向けて瞬時加速を行い突っ込んだ。
「テメェの相手はこの私だ! 行くぞ! この機械野郎が!!」
言い放った響は福音を箒たちからできるだけ遠ざけた。そして響の耳に福音の不気味な機械音声が入ってきた。
「標的変更。前方の敵を排除」
抑揚のない冷たい声で福音が告げると同時に響は福音に殴りかかっていた。だがそれも福音は軽々と避ける。
「ちっ! ……まぁいい、今は
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