臨海学校 後編
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束が頭を出しているではないか。
それを見ながら、千冬はため息をつくと、
「……出て行け束」
「あーんもう! 少しぐらいは束さんの話聞いてってば! その作戦にはびっきーの夜天月より紅椿の方が絶対いいんだって!!」
「何?」
束の発言に千冬だけでなく、その場にいた響以外の全員が怪訝そうな顔をする。
「確かに夜天月ならスピードだけならいいかもしれないけど、もし戦闘が長引いた時夜天月だときついんだよ。なにせ遠距離武装がないから援護ができないしね。その点紅椿の場合は遠距離はできるし何より展開装甲を搭載しているからね」
展開装甲、という始めて聞く単語に皆が首をかしげると、束はそれを知ってか知らずか説明を始めた。
「展開装甲って言うのは私が作った第四世代ISの装備でねー。簡単に言えばいっくんの持ってる『雪片弐型』に搭載されてるヤツでね。攻撃や防御に使えるほかに、出力をちょちょいといじってやれば展開装甲だけでも射出系の武器にもなる優れものなんだよ」
えっへん、というように束は胸を揺らす。だがその場にいる全員はポカンとした顔をしている。それもそうだろう、なにせ今の説明の中だけでとんでもない単語が出てきたのだ。
それは紅椿が未だ世界の何処の国でも開発がされていない第四世代のISということだ。しかもその紅椿には展開装甲などという、新たな武装まで搭載されているというのだ。
これで驚かない方がおかしいというものだろう。
「ありゃ? なして皆固まってるん?」
当の本人は小首をかしげ、皆が固まってしまっていることが理解できていないようだ。その様子に千冬は一息ため息をつくと、
「――言ったはずだぞ束。やりすぎるなとな」
「いや〜、やり始めたら止まんなくなっちゃってさー」
頭をかきながら束はにやけている。
「束、紅椿の調整にはどの程度かかる?」
「7分もあれば余裕だよん」
束はくるりと回りながらウインクした。その姿は親に褒められて嬉しそうに飛び跳ねる幼子のようだった。
「よし、では今回の作戦は内容を変更。鳴雨は作戦から除外し、篠ノ之、織斑両名での出撃とする」
一夏と箒はそれに頷く。一方響はというと、
「私はいらないって事か……あーよかったよかった。めんどくさいことから解放されて」
大きく伸びをしていた。だが、しかし、
「あーちょっとまってー。できればびっきーも行ったほうがいいと思うよ。戦闘はいっくん達に任せればいいけど移動はびっきーがいた方が断然速いから」
紅椿をいじりつつ、束が告げた。
「夜天月のブースター全開でふかせば福音に追いつくなんてあっという間だよ。とりあえず戦闘海域まではびっきーに運んでもらって、そこか
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