臨海学校 後編
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テメェからあいつらを遠ざけるることが先決だ。少しの間付き合ってもらうぜ!」
響は福音に拳を当てようとするものの、やはり福音には当たらない。それが数回続いた時響は顔をしかめつつ、
「ちょこまか動きやがってめんどくせぇ……! だが、頃合だな」
表示されたディスプレイのマップから紅椿の反応が消えたことを確認すると、
「勝負はお預けだ。首を洗って待ってな」
告げて響がその場から立ち去ろうとした瞬間だった。福音が一瞬にして響の間合いに詰め寄ったかと思うと再び、光弾の雨を降らせた。
「なんっ!?」
回避運動を取ろうとする響だが、あることに気付いた。
……ブースターが起動しねぇ!?
そう、夜天月に装備されていたブースターが機能を停止していたのだ。しかし、損傷したような箇所はない。
……どういうことだ!? ホバリングのためのスラスターは動いてるのに……まさかエラーだってのか!?
響が思った頃にはもう遅かった光弾が眼前に迫って来ていたのだ。
「くっ!?」
何とか頭への直撃は避けることができたものの、それ以外は無理だった。まず右腕に、そして腹部に、肩に、足にと次々と光弾が降り注いだ。
その圧倒的な数に動けない響はなすすべもなく飲み込まれていく。
あっという間に0になったシールドエネルギーの影響で一気に危険域に達しそうになった瞬間。
唐突に攻撃がやんだ。
「ぐ……う……!」
うめき声を上げながら響が福音を見据えるが福音はまたも冷淡な機会音声で告げてきた。
「対象戦闘不能。攻撃終了。この空域から離脱する」
それだけ告げると福音は目にも止まらぬ速さでその場から消えた。
後に残された響は虚ろになりながらもゆっくりとした動きでその場から立ち去った。
「っく……あの野郎。ぜってーこの借りは返してやる」
毒づく響だが彼女の体の損傷はひどいものだった。出血はもちろんのこと、おそらく筋肉の断裂。打撲にさらには骨折もあるだろう。しかも最初の攻撃が当たった右腕はブランと垂れ下がったまま動く気配がない。
「こりゃあ右腕脱臼してるかもな……ハハッ、ざまぁねぇや」
苦笑する響だがその目には光が灯っていなかった。
そして箒たちが戻った10数分後、連絡の途絶えた響の捜索をした千冬達が発見したのは、浜辺で血みどろになって倒れ付している響の姿だった。
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