第一章 護れなかった少年
第十六話 ビーター
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ィアベルさんを見殺しにしたんだ!!」
......やっぱり......あの人はディアベルさんと同じC隊の人だ。視線を移すと、彼の背後にも残り四人が顔をクシャクシャにして立っていた。中には本当に泣いてる人もいた。
「見殺し......?」
隣にいたキリトが呟く。
「そうだろ!! だって......だってアンタラはボスの使う技を知ってたじゃないか!!アンタラが最初からあの情報を伝えてれば、ディアベルさんは死なずに済んだんだ!!」
そんな叫びに、残りのレイドメンバーたちがざわめく。「そういえばそうだよな......」「何で......?攻略本にも書いてなかったのに......」
などという声が生まれ、徐々に広がって行く。
その疑問に答えたのは、予想通りキバオウさん−−ではなかった。
彼は離れたところで、何かに耐えるように口を引き結んだまま立ち尽くしている。
しかし、代わりに彼の指揮するE隊の一人が走り出し、僕らの近くにやってくると、右手の人差し指を突き付け、叫ぶ。
「オレ......オレ知ってる!!こいつら、βテスターだ!!だからボスの攻撃パターンとか、うまいクエとか狩場とか全部知ってて隠してるんだ!!」
その言葉を聞いても、シミター使いたちC隊メンバーの顔に驚きはなかった。きっと、僕らが初見のはずのカタナスキルを見切った時点で確信していたのだろう。
代わりにシミター使いの両目が憎しみの色を増し、再度何かを叫ぼうとした。
それを遮ったのはエギルさんと一緒に最後まで壁役を務めたメイス使いだった。
律儀に右手を上げ、冷静な声言う。
「でもさ、昨日配布された攻略本に、ボスの攻撃パターンはβ時代の情報だ、って書いてあったろ?
彼が本当に元テスターならむしろ知識はあの攻略本と同じなんじゃないのか?」
「そ......それは......」
押し黙ったE隊メンバーの代わりにシミター使いが憎悪溢れる一言を口にした。
「あの攻略本がウソだったんだ。アルゴって言う情報屋がウソを売りつけたんだ。あいつだって元テスター何だから、ただでさえ本当のことなんか教えるわけなかったんだ」
ダメだ。この流れは......
密かに思う。
僕に敵意が向くというのはまだイイ。
でも関係のないテスター達や、信用第一のアルゴさんに敵意が向くかもしれないこの状況はよくない。
そう思いながら、どうにかする方法はないか、と頭の中で模索する。
と、一つだけ方法が思いつく。
......これしかないかな......。
と、その瞬間、背後にいた、エギルさんとアスナさん、そしてネオンが同時に口を開いた。
「おい、お前......」「あなたね......」「ねえ、君...
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ