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京に舞う鬼
第二十五章
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いた。これで鬼の攻撃は消し去ってしまったのであった。
「何と、その為の闇じゃったか」
「そういうことだ」
 役は闇を封じ終えて安堵した顔になっていた。
「この闇を操るのはかなり厄介でな」
 鬼に対して語る。
「一歩間違えれば私達も飲み込んでしまうものなのだ」
「それを。わらわの槍を消す為に使ったというのか」
「そうだ」
 役は言った。
「これでもう槍は使えないだろう」
「くっ」
「あれだけの槍を出して投げるにはかなりの妖力が必要だ」
 彼はそれを見抜いていたのだ。
「そして貴様はそれまでにも多くの力を使ってきた。もう残された妖力は僅かだ。違うか」
「例え妖力がなくとも」
 だが鬼はそれでも二人を殺すつもりだった。殺気は衰えてはいなかった。
「この刀で。首を刎ねてやろう」
「そうか。ならやってみな」
 鬼はその手に持つ薙刀を構えた。そこに本郷が襲い掛かる。
「やれるもんならな」
「ほざけ、人間が」
『本郷さん』
 貴子が言ってきた。
『来ます』
『今度は何を仕掛けて来るんだい?まあ薙刀だってのはわかるけれど』
『足です』
『足か』
『はい』
 何故足を狙って来るのか。本郷にはわかった。薙刀では脛を狙う攻撃があるのだ。その為剣道のそれとは少し違い薙刀の防具は脛当てまである。薙刀があまりにも強いのはそのリーチや振り回す速さだけでなく足を狙うからでもある。その為かなりの剣の達人でも薙刀の相手をするのは困難なのだ。
『一気に薙ぎ払うつもりです』
『そりゃまた随分とオーソドックスですね』
『大丈夫ですか?』
『まあね』
 貴子を安心させる為にも答えた。
『薙刀ともやり合ったことありますし』
『そうなんですか』
『ええ』 
 といっても真剣の相手とはこれがはじめてである。だがそれは黙っていた。
『とにかく足なんですね』
『そうです』
 貴子はまた答えた。
『それから一気に止めをさすつもりです』
『わかりました。それじゃあ』
「覚悟しやれや」
 鬼は本郷に紅く、憎悪に燃える目を向けていた。
「これで終いにしてやるからな」
 薙刀を振ってきた。貴子の言葉通りであった。今目の前でもう一人の貴子がそれで本郷の足を断ち切らんとしていた。
 本郷は跳んだ。駆けながら跳んだ。それで鬼の薙刀を間一髪かわした。
「ナヌッ!?」
「薙刀ってのはな、確かにとんでもなく強いよ」
 役は跳びながら鬼に対して言った。
「しかしな、一振りの動きが大きいんだよ。それで弱点もかなりのものなんだよ」
 その手に持っている刀が鋭い光を放っていた。部屋の周りを燃え盛る炎の光を受けて紅く輝いていた。その紅は鬼の目に映る紅とは違っていた。純粋な、悪を絶つ紅であった。
「それを衝けば。刀だって相手が出来るんだよ
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