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京に舞う鬼
第二十三章
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『了解です』
 役はそれを受けて動いた。上を見上げすぐにそこへ向けて発砲した。
 丁度発砲する直前に棘が振り下ろされようとしていた。だが役はそれを銀の銃弾で弾き返したのであった。
「ほう」
 鬼は自身の攻撃を防がれても余裕を見せていた。悠然と目を細める。
「やるではないか。今のをかわすとは」
「・・・・・・・・・」
 役はそれに一言も返さない。鬼に心を読まれるのを警戒しているのだ。
「さすれば次は」
 今度は本郷を見た。だがそれは一瞬であった。
『今度は本郷さんです』
『俺ですか』
『はい、爪です』
『爪』
『来ます、避けて下さい』
『死ねよやっ』
「チィッ!」 
 貴子の言葉通りであった。爪が来た。鬼が本郷に右手の指を一斉に向けるとそれが急に伸び本郷を刺し貫こうとしてきたのである。本郷はそれを跳躍でかわした。
「今度は爪かよ!」
「わらわの武器は花だけではない」
 鬼は跳んだ本郷に対して言った。
「全てのものが武器なのじゃ」
「へっ」
『また来ます』
『またですか』
『はい、着地の瞬間を狙っています』
 本郷は跳躍したままの状態で貴子と話をしていた。跳んでいる僅かな間でも心の中の会話は続く。一瞬の刹那の間に勝利を掴む為に。彼は貴子の言葉を聞いていた。
『今度の攻撃は』
『地走りです』
『地走り』
『また花を使った攻撃です、一旦天井へ』
『了解』
 本郷は空中で反転した。そして天井を蹴る。
「何とっ!」
 鬼は今まさに床に何かを放ったところであった。ついさっきまで本郷が着地する筈の場所に巨大な蠅取草がその禍々しい顎を拡げていた。それで本郷を喰らうつもりであったのだ。

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