烈火の意味
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一瞬動きが固まった相手に対して、小規模艦隊が敵本隊に殺到し、こちらの主砲が敵を貫いた。遅れて始まった敵の攻撃は、既に連携をとれておらず、単発的に起こる攻撃は、こちらの前方に配備していた重巡航艦によって、容易に攻撃を阻まれる。
相手の攻撃が最適であるからこそ、わかりやすい。
いつ攻撃をするのか、どういう攻撃をするのか。
そして、どういう対応をするのか。
だからこそ、対策が取りやすいし、何より。
おそらくはいまだ理解ができていない彼女に対して、語りかけるようにアレスはその答えを口にした。
「この機械、たまにバグるから」
もっとも、その条件は非常に厳しい。
まず発生条件が決戦であり、特定の星域――対戦相手が二名であること。
次に複数の標的に対して、個別かつ複雑な命令を与えること。
そして、全艦隊が同時に主砲を斉射を命令すること。
他にもいくつかの細かくも複雑な条件が絡み合い、一瞬だけ攻撃が遅滞する――即ち処理落ちが発生する。もっとも発生の条件があまりに厳しく――特に標的を幾つも分けて、複雑な命令を行うことができる人間など限られている。単純に考えれば過負荷が原因であろうと予想ができるが、別の星域や違う条件であれば、もっと強い負荷がかかったとしても発生しないため、単純にそれだけが原因でもないようだ。
ましてや技師でもないアレスにはそれ以上のことなど理解できるはずもない。
ただ、理解しているのは、一瞬だけ敵の攻撃に遅滞が生じる事。
そして、それが敵にとって致命となるように艦隊の動きを変更していけばよい。
相手が効率的な動きをしてくれるから、こちらとしては楽なものだった。
相手が詰将棋のように動くなら、一瞬の遅滞が致命になるように動くだけのこと。
「これを卑怯だと思うか。まあ、卑怯なことには変わりはないが」
こちらの攻撃に対して、相手は距離を取って艦隊を再編させようとしている。
時間を稼ぐことが出来れば、現在の損傷艦艇数からは相手の方が有利。
それを理解しての行動だろうが、少し早過ぎた。
戦場であれば、現状においては最適はあっても、その一秒後には最適である保証はない。
逃がすつもりはない。
アレスはコンソールを叩いて、命令を入れた。
+ + +
「しまった」
命令を入力してから、ライナは失敗に気づいた。
一瞬の遅滞からこちらの艦列が乱れた。
原因を理解する前に、即座に艦隊を立てなおそうと後退する。
その動作まではわずか一秒ほど、まさに機械的な行動だ。
だが、入力し終えて敵艦隊を見れば、失敗に即座に気づく。
こちらは敵の両翼を撃破し、後退させた。
突出しているのは先頭――そして、その図式は三角形の鋒
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