第二十二章
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は感じませんか?」
「君程ではないがな」
役もそれを感じていないわけではないではないのだ。
「やはり。感じる」
「やっぱりそうですか」
「昨日よりもな」
「ですね」
「考えが読めても。一瞬反応が遅れれば」
「やられるのは俺達です」
「そして竜華院さんもな」
「責任重大ですね」
「だが。それでもいいな」
「今更、ってやつですね」
本郷の笑みは変わらなかった。
「この仕事をはじめてから。覚悟は決めていますよ」
「よし、では迷いはないな」
「行きますか」
「ああ」
二人は同時に前に出た。一歩闇の中に踏み出す。
そのまま前へ進んでいく。闇は先へ進むごとに深く、暗くなっていく。
だがそれでも二人は先へ進んだ。魔を倒す為に。彼等は前に進むのであった。
妖気は徐々に強くなっていく。やがてそれが二人を退けんばかりにまでなってきた。
「あれだ」
役はすぐ前にある門を指差した。闇の中に赤い門が浮かび上がっている。
「あれですね」
「そうだ、間違いない」
妖気もここで最も強くなっていた。それに貴子の言葉通り赤門である。この二つが何よりの証拠であった。
「あの赤い門だ」
「しかし」
「何だ?」
役は本郷の言葉を目を向けさせた。
「何かあるのか?」
「あの赤ですけれど」
「うん」
「あれ、朱じゃないですよね」
「!?」
「朱にしては。やけに生々しい赤じゃないですか。まるで生きているものを使ったみたいに」
「血か」
「多分そうでしょうね」
門を見る本郷の顔が険しくなっていた。
「今までの犠牲者の血だな」
「道理で血が殆ど残っていない筈ですよ」
「門を赤くするのに使うとはな」
「これも。芸術だって思ってるんでしょうね。とんでもない奴ですよ」
「だが我々は今からそのとんでもない奴の相手をする」
役は門を見据えたまま言った。
「この門を染めている少女達の為にも」
二人は門の前に来た。そしてそこをくぐった。今二人は魔界に入ったのであった。
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