第二十一章
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んですけれど」
だが貴子にはそれがわからないらしい。本郷にはそれがとても信じられなかった。
「じゃあいいです」
「はい」
貴子にとっては何が何なのかわからないまま話は終わった。
「それじゃあここで待っていて下さいね」
「わかりました」
「この御札を御身体に付けられて」
役が伝心の札を差し出す。そして貴子に手渡した。
「それだけはしっかりとお願いします」
「さもないと俺達が困りますからね」
「それは承知しています」
ゲームボーイの時とはうって変わってしかっりとした返事が返ってきた。それは本郷も役もわかっていたことなので特に心配はしていなかった。
「では」
「ええ」
「これで」
三人は別れの言葉を交あわせた。貴子が院に入ると役が札を何枚か取り出しそれを院の要所要所に投げて貼った。それで封印は成ったのであった。
「これでよし、ですね」
「備えはな」
「じゃあ後は俺達の仕事ですね」
「そうだ」
閉じられ、扉が札で封印された院の前で頷き合う。ここで二人の心の中に貴子が声をかけてきた。
『もし』
『貴子さんですね』
まずは本郷がそれに問うた。
『はい』
そしてそれに返事が返って来る。
『聴こえているようですね、私の声が』
『ええ』
『どうやら札が効いているようですね』
役もまた。彼もそれに応えてきた。
『はい、どうやら』
『ならば問題はありません』
『じゃあこれでこのまま行けますね』
『そうだ。では竜華院さん』
『はい』
三人は心の中で話を続ける。顔を見合わせていなくとも三人は話をしていた。
『鬼の場所は』
『昨日と同じです』
『嵐山ですか』
『そうです、そこの屋敷にいます』
貴子は院の中からそう言った。
『場所は。あちらに着かれたらお知らせ致します』
『わかりました』
『じゃあまずは嵐山に』
『お願いします。まずはそこに行かれないと細かいことはお伝えできませんので』
本郷と役は嵐山に向かった。丁度延暦寺との間を往復する形となり嵐山に到着した時には夕方になっていた。二人は嵐山のコンビニで買った弁当とカップラーメンを食べた。それが夕食であった。
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