第二十章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
」
「そうだったのですか」
「鬼は元々私の中にいました」
彼女は言う。
「だから。私は鬼の考えがわかるのでしょう」
「ふむ」
「役さん、それってかなり大きいですよ」
本郷はそれを聞いて役に言った。
「あいつの考えがわかるんなら。先手を打つことだって出来ます」
「そうでもないとあの鬼には勝てそうにないしな」
それは役もわかっていた。
「勝つにはあまりにも手強い相手だ」
「ええ」
「考えが読めない限りはな」
「じゃあ決まりですね」
「いや」
しかし彼はそれには首を縦に振らなかった。
「そう言い切るにはまだ早いな」
「早いですか」
「そうだ。仮に竜華院さんが鬼の考えを読むとする」
「はい」
「それの伝達はどうするのだ?まさか竜華院さんに側にいてもらって口で直接教えてもらうのか?」
「それは」
「無理だろう。そんなことをすれば鬼にこちらの考えが読まれてしまう」
「ですね。じゃあどうすれば」
「実は方法がないわけではない」
本郷はここで言った。
「何だ、あるんですか」
「そうだ、術を使う」
彼はさらに言う。
「札を使ってな。伝心の札だ」
「伝心の」
「それぞれの身体にこの札を貼る」
懐から数枚の青い札を出してきた。本郷と貴子にそれを見せながら説明する。
「これで互いの心を伝え合うことができるのだ」
「じゃあそれを使えばいいじゃないですか」
「しかし」
だが役はここで難しい顔をした。
「この術には欠点が一つある」
「あっ、やっぱり」
本郷は役のもったいぶった様子からそれを悟っていた。
「それがありましたか」
「その欠点は伝えるのは心だけではないということだ」
「じゃあ何を伝えるんですか?」
「傷だ」
役は目を決して述べた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ