第四十四話 学園の魔女その五
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「実はね」
「あの青木さん、ですから」
「いいじゃないですか、本当のことですから」96
茉莉也は恥ずかしそうな苦笑いになって言う七生子に明るい笑顔で返した。
「先輩このままですよね」
「はい、夢はイタリアとドイツに留学して」
「世界一のソプラノ歌手になることですよね」
「モンセラート=カバリエ以上の」
スペイン出身の大ソプラノ歌手だ、その驚異的なオペラの役のレパートリーで知られている。
「ソプラノ歌手になることです」
「ですよね、ですから」
「今ここで青木さんが私のことをお話してもですか?」
「いいじゃないですか」
「ううん、そうなりますか」
「はい、それと部活のことですけれど」
「部活はこの美術部と魔術部です」
七生子から話してきた。
「掛け持ちをしています」
「じゃあやっぱり先輩がですか」
「魔女なんですね」
二人は七生子の言葉に戸惑いながら返した。
「ええと、それじゃあ魔法をですか」
「使えるんですか?」
「それは使えないです」
七生子は笑って魔法のことは否定した。
「勉強はしていますけれど」
「そうなんですか」
「じゃあ黒魔術や白魔術も」
「知識はありますが」
それでもだというのだ。
「使えないです」
「先輩はそうしたところは普通の人なのよ」
茉莉也も二人にこう話す。
「魔法を使えるかどうかは」
「そうなんですか」
「そうしたところはですか」
「そうなのよ。あとお茶とお花と日舞だけでなく」
そうした日本文化だけでなく、というのだ。
「お料理も免許皆伝よ」
「えっ、じゃあ超人なんですか?」
「完璧タイプなんですか」
「いえ、そんなことは全然ないですよ」
七生子は茉莉也のその話を笑って否定した。
「本当に」
「そうなんですか?」
「お料理まで出来るって本当に凄いですよ」
二人は家の店の仕事だから身に着けているのだ、だが自分から進んで上手になったという七生子には素直に驚きの感情を見せたのである。
それでだ、七生子にこうも言うのだ。
「まさかこんなハイスペックの方だなんて」
「スタイルもモデル級だし」
洒落た白いブラウスに黒いズボンというラフな格好だがそれがかえってスタイルのよさを際立たせていた、二人から見れば本当にモデル級だ。
「青木先輩みたいにおかしな方向でもハイスペックじゃなくて」
「正統派なんですね」
「だからこの絵は先輩のだから」
このことを二人にそっと囁く茉莉也だった。
「わかっていてね」
「いや、それでもですよ」
「素直に凄いスペックじゃないですか」
「まあね。凄い人なのは確かね」
茉莉也もこのことは認める、七生子のことを知っているだけに。
「ただね」
「それでもなんですか」
「この人は」
「
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