空白期編
陽龍
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い。
どんどん思考が悪い方へ向かっていったとき、手術中の赤いランプが消えた。
そして中からシャマルが出てくる。
「シャマル!おにぃは、おにぃは大丈夫なの!?」
私はすぐさま近づき、言う。
「落ち着いて美愛ちゃん。なんとか手術は成功したわ。陽龍くんはもう大丈夫よ」
その言葉を聞いて、私はその場に座り込んでしまう。
良かった。あの最悪な妄想が現実に起こらなくって。
これでまた一緒に馬鹿なことができる。
心配させた罰として、毎晩デザートを作ってもらおう。
「でも、やっぱり完治とまではいかなかったわ」
これからおにぃとしたいことを考えていると、そんなことをシャマルが言った。
「身体は今現在は動かないと思う。でもリハビリを続ければ生活に支障がない程度には回復できる。そこから先は陽龍くん次第ね。そして、一番の問題。彼はもう、魔法を使えないかもしれない。詳しいことを話したいので、ご両親はついてきてくれますか?」
シャマルはそう言って二人を連れて何処かへ行ってしまった。
そのすぐあと、眠ったままのおにぃが出てくる。
おにぃは本当にただ眠っているだけのようで、いつものように朝起きれない私を焔火で無理やり起こそてくれそうだ。
しかし、もうそんなこともできないかもしれない。
魔法が使えないってことは、それだけではない。
春香・ヴァレスティアを誘拐した犯人、ジェイル・スカリエッティを捕まえられない。
普段は私たちと馬鹿みたいなことを、話をしているおにぃだが、本当はおにぃは割と豆腐メンタルで、人一倍背負い込もうとする。
そんなおにぃが、アイツを捕まえられないと知ったら。
きっともう、今までのような関係を保つことはできないだろう。
今まで以上に打たれ弱くなって、しゃべることが少なくなるかもしれない。
今まで以上に背負い込んで私たちを困らせて、勝手に潰れちゃうかもしれない。
なにより、もうあの楽しかった日々が戻ってこないかもしれない。
おにぃに話したらそんなわけねぇだろって言われると思う。
でも、きっと間違ってないと思う。
生まれたから十一年間、一緒に過ごしてきた双子の妹である私がいうんだから。
そして、おにぃの妹だからこそわかる。
そろそろこのウザったいしんみりムードを終わらせないと。
私は立ち上がり、思いっきり息を吸い込む。
立ち上がった時にわかったんだけど、その場にはもうおにぃはいない。
居るのは両親以外のみんな。
みんな、暗い顔をしている。
うん、だったらこれは必要なこと。
病院?だからなんだってんだ。
そんなのは関係ない。
ただ、私がやりたいからする。
それだけのことでしょう?
「しゅーーーーーーーりょーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!
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