空白期編
陽龍
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ーキを作っているアリシアを手伝ったり、つまみ食いしようとする美愛を怒鳴らないと。
そんなのんきなことを考えながら、完全にオレの意識は闇に飲み込まれてしまった。
場所は変わって、ミッドの病院。
そこではさっき背中から刺された少年、浅賀陽龍・・・おにぃの手術が行われていた。
手術室の前で私は立ち尽くし、どうしてこうなってしまったのだろうと考えていた。
今日の私は用事がなく、家でケーキを作るアリシアを少し手伝いながらこっそりつまみ食いをしていた。
あと少しでおにぃの仕事が終わる。
帰ってきたら最後の仕上げをしてもらい、今日は非番にしたおとーさんとおかーさんと一緒にご飯を食べよう。
今回のケーキはおにぃとアリシアが数日前から準備していたのだから、すごく美味しいはずだ。
はやく帰ってこないかな・・・。
あとはおにぃの仕上げだけとなったケーキを眺めながら、帰りを待つ。
「うそ・・・うそ、でしょう・・・?」
おかーさんの声が聞こえた。
たぶん念話で話していたんだろうけど、そんなに驚くことだったのか、口に出していた。
おかーさんの声はとても小さく、驚きと焦りの混じったように感じる。
「どうかしたのー?」
同じように聞こえていたアリシアが話しかける。
するとおかーさんはこっちを向いて両目に涙を溜めた状態で、言った。
「陽龍が・・・」
戸惑うおかーさんの言うことを理解するのに、時間はかからなかった。
私たちは一言もじゃべることなく地下に行き、おにぃが運ばれたミッドの病院へ行った。
そして今。
手術室の前には私たち浅賀家以外にも高町家、ハラオウン家、慎吾、八神家、が集まっていた。
普段ならばいろんな話をするが、今は状況が違う。ただひたすらに無言が続く。
先に来ていたリンディさんにおにぃのことを聞くと、予想以上におにぃの身体はボロボロらしい。
ガジェットに刺されるだけでも、それなりに重症だ。
バリアジャケットを着ていたから威力は多少落ちたものの、それでもガジェットに向けていた背中を刺された。
なのはを押した反動で刺さった刃はより深くめり込んで骨、内蔵にも傷ができてしまった。
地球の医療だったら、助からない可能性だってある。
しかしここは魔法の存在する世界。完治とまではいかなくても、ある程度の回復はできるはずだった。
でも、おにぃの怪我はそれだけではない。
地面に落ちた時に刃は抜けたらしいが、衝突の時に全身打撲。
両足の骨が砕けたらしい。
これがアニメの世界だったらどんだけだよと笑えるかもしれないが、実際におにぃがそうなっている。
手術はシャマルを筆頭に行われているからいくらかの安心はできるが、最悪の結果が待ち受けているかもしれない。
その可能性は、ゼロ%では、な
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