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ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第54話 覚醒の時
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その言葉に答えることができずそのままうずくまる木場。その時
「がんばれぇっ!!」
その言葉を発したのは意外や意外、この中で一番おとなしそうな生徒会の草下さんだった。それに続くようにして
「立ちなさい木場くん!」
「祐斗! あなたならやれるわ!」
「木場さん! しっかり!!」
「頑張ってださい祐斗さん!」
「負けんじゃねぇよ木場ぁっ!」
「貴様はその程度ではないはずだ木場祐斗!!」
口々に応援しだすみんな! あのゼノヴィアまでもが木場を応援してる! ……しかし、未だに木場はその場から動けずにいた。くそっ! 木場には俺達の言葉じゃ届かないのかよ!?
そんな木場に更に火織は語りかける。
「祐斗、あなたはエクスカリバーに復讐することこそ同志たちの意志だって言ってるけど……本当に彼らがあなたに望んだのは復讐なの?」
それを聞いた瞬間……木場がものすごい速度で再び斬りかかった!
「火織さんに……! 貴様に何が分かるっていうんだ! 貴様なんかに! 恵まれた貴様なんかに何が分かるんだ!」
そう言いながらがむしゃらに斬りかかる木場は……泣いていた。
「同志たちはみな死んだ! 僕1人を残して! なら彼らのためにも僕は復讐するしかないじゃないか!」
その言葉を聞きながら黙って木場の剣を受け止める火織。そして……
「仮に同志たちが復讐以外を僕に望んでいたとして! じゃあ僕はそれをどうやって知ればいいんだ!!」
儚い音と共に木場の振っていた魔剣は砕け散った。
「誰でもいい、頼むから…………教えてくれ………………」
そしてそのまま膝をつきうなだれる木場。俺はこの時になってようやく分かった。俺達の想いが伝わらなかったんじゃない。いや、木場のことだ。俺達が如何に木場を心配して、応援していたか分かっていたはずだ。でも前提が違った。そもそも木場は、自分がどうすればいいかを見失っていたんだ。
今の木場に想いが届くとしたら……それはもう死んでしまった同志たちを措いて他にいない。でもそれが不可能な以上、いったいどうすればいいんだ……。
俺達はもうどうすることも出来なかった。今度こそ心が折れたかのようにうなだれる木場の声をかけることさえ出来なかった。友達なのに……仲間なのに……なのに俺達は……俺には何も…………!
パァァァアアア………………
そんな時……
それは突然起こった……
まるで木場を包み込むようにして暖かな光が……
そしてその光が発せられているのは……
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