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ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第54話 覚醒の時
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いことではない。だから部長と会長、教会の2人で今回のことは無かったこととして合意が得られた。
シナリオとしてはこの2週間、教会の2人がコカビエルとの激戦を繰り広げた末に勝利し、僕達悪魔とは何もなかったということになっている。また彼女たちは、コカビエルの手からエクスカリバーを無くすためなら最悪破壊してもいいという許可まで貰っているとのことだ。だからこそここで僕が壊してしまっても、誰も責められることはない。なにせ今回のことに悪魔は関与していないんだから。
……でも今のままでは破壊なんてとても出来そうにない。この2週間で僕と火織さんの差、そして僕の創る魔剣とエクスカリバーの差を僕は思い知らされた。昨日から一睡もせずにどうすればいいか考え、今朝も稽古を休んでまでこうして見ることに徹しているけれど……突破口は一向に見えてこない。
あの時、皆が必死になって僕を逃してくれた。皆の無念を晴らす最後の希望として。そして悪魔になってまで生き残り、こうしてチャンスを掴んだくせにこのザマだ。……僕は、生き残るべきではなかったのかもしれない。僕より優秀な同志はいっぱいいた。彼らが生き残っていれば、僕のようにこんな………………こんな無様な姿なんて晒していなかっただろうに………………本当、どうして僕だったんだ………………
☆
俺の目の前ではついに最後の稽古が始まった。時は放課後、もう何度目になるか、木場は火織に斬りかかる。いつもはこの時間俺は白音ちゃんに組手の稽古をしてもらってたんだけど、流石に今日はもう手に付きそうにないんで完全に見学に回っていた。それは部長や朱乃さんもそうだったらしく、今日は黒歌姉に稽古をつけてもらっていない。更に今日はいつもいない会長まで仕事を休んで見学に来ていた。グレモリーとシトリー眷属勢ぞろいだよ。
「で? 祐斗、朝は休んでなにか分かったことでもあった?」
木場の斬撃をいなしつつ語りかける火織。それに対して木場は
「……そんなの!」
歯をギリッと食いしばりつつ叫んだ。
「そんなの分かるもんか! ただ僕はエクスカリバーに復讐するために生き残った! なら僕のやるべきことなんて決まっている!」
そう叫びつつ火織に更に斬りかかっていく木場。
「同志たちの無念を晴らすためにも……!!」
しかしながらその剣閃は俺が見ても分かるほどにただがむしゃらなものだった。
「……はぁ」
それに対して火織はただため息を付き、その瞬間ドゴォッ!! という凄まじい音とともに木場を蹴り飛ばした。
「ゲホッ! ゲホォッ!」
「祐斗、あなたの剣は見るに耐えないわ。ねぇ、みんなの言葉は、想いはあなたには伝わらなかったの?」
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