空白期編
ばーか
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なって、改めて教室を見る。
そこには大切なオレの親友が、とても悲しそうな顔をしてオレと美愛を見ていた。
この情けないオレたちを、心配してくれていた。
「冷静になったか、バカ野郎ども」
「お前にバカって言われたくねえよ、ばーか」
「ほんと、慎吾にバカって言われると本気で落ち込んじゃうよ、ばーか」
「もう、バカバカ言ってないの」
ようやくいつもの調子を取り戻し、あの馬鹿らしく、とても楽しい会話をした。
「・・・みんなに、聞いて欲しいことがあるんだ」
「だからさ、みんなで行こ。翠屋に」
親友たちの顔をしっかりと見て、オレと美愛は言った。
あのあとオレたちは廊下であの怒鳴り合いを見ていたみんなを連れて翠屋に行き、そして数日前に起こった春香・ヴァレスティアが誘拐された事件を話した。
異世界の話だから聞いても意味のないアリサとすずかも、真剣に聞いてくれた。
聞いた上でアリサは一言、「バカじゃないの?」と言った。
「奪われたんなら、奪い返せばいいのよ。頭良いくせに、そんな簡単なこともわからないの?」
超ドヤ顔でアリサが言うと、あたりが笑い声で溢れかえった。
本当に、簡単な話だった。悩んでいたのがバカらしくなるほどに簡単だった。
そう、奪い返せばいい。ただそれだけの話だ。
「オレなんかよりずっと頭いいよ、アリサは」
オレはそう言ってまた笑う。
「まったく、今更気がついたって遅いのよ、ばーか」
「あ、アリサ、バカっていう方がバカって知ってた?ばーか」
「美愛、美愛のほうが多く言ってるよ、ばーか♪」
「お姉ちゃんまでバカって言ってるよ?ば、ばーか」
「フェイトまで乗った!?なら・・・ばーかばーか、陽龍のばーか!」
「よーし、ならうちらもまざらんとな!ばーか!」
「ちょ、はやてちゃん!?もう・・・ばーか」
「なのはちゃんまでぇ・・・」
「ほらすずか、なにやってるのよ!ばーか!」
「あ、アリサちゃん・・・もう、ばーか!」
「あーもううるさい、この馬鹿どもがーーー!!」
こうやって笑い合うのがとても楽しくて、幸せで。
その時のオレは考えもしなかった。
まさか、この幸せが壊れる時が来るだなんて・・・。
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