ヴァンフリート星域会戦 その二
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「撃て!」
「撃て!」
双方ほぼ同時に砲撃が始まり、モニターに映る無数の蛍火の先で少なくない人命が消えてゆく。
ヤンの配下の駆逐艦にも数隻の撃沈が報告されるが、ヤンは顔色を変える事無く指揮を続ける。
ゆるやかな後退を続けること二日。
変化は急激に、そして端的に現れる。
「辺部より敵の落伍艦多数存在」
「無視しろ。
まだ砲撃を行っている艦を集中的に叩け」
「了解」
艦隊戦というのは、ビームやミサイルを撃ち合うだけではない。
センサーのジャミングや、コンピューターのダウンを狙った電子戦だって行われているのだ。
帝国軍の落伍艦はこのウイルスにやられてダウンした艦である。
アンドロイドとドロイドの違いは、スタンドアローン機能があるかどうかによって識別されている。
ようするに、艦のメインコンピュータから命令されて動くのがドロイドであり、自立頭脳を持っているのがアンドロイドな訳だ。
という事は、艦のメインコンピューターをウイルスなどでダウンさせると、ドロイドは使い物にならなくなる。
ウイルス戦自体は今までの戦闘において数限りなく行われていたのだが、今回みたいな顕著な成果が出たのは、ヤンと副官が話した危険性である。
コーディネーターはたしかに優秀だ。
だが、少数のコーディネーターで艦の管理、戦闘指揮、電子戦など全て行える訳が無い。
少数という事は、替えがきかないことを意味する。
その結果疲労が蓄積し、戦闘後半部において一気に露呈したのだ。
緑髪の彼女達が原作が近づくに連れて損害が急増するにも関わらず、艦の人員を半分残した理由がこれである。
メインコンピューターがダウンしても手動のサブシステムで最低限の戦闘ができるぎりぎりの人数がこれだったのだ。
落伍艦の数を考えれば、無人艦を集中管理している可能性すらある。
そこを狙われて、更に落伍艦が増えてゆく。
帝国軍が落伍艦を再起動して掌握する暇を与えないように、集中的にネットワークの中継艦を狙ってゆく。
この単艦攻撃には単独行動が得意なケストレルのスパルタニアン隊が大いに役に立った。
そして、コーディネーターでも勝てないと帝国軍の心を折る一撃が無慈悲に叩きつけられる。
「援軍です!
第二艦隊が援軍に駆けつけてきました!
全回線を使ってね第二艦隊から全艦に伝令!
『遅れてすまぬ。
ディナーはまだ残っているか?』だそうです!!!」
艦橋内であがる叫び声と舞うベレー帽。
それとは対照的に、帝国軍は明らかに撤退に移っていた。
それを見逃す同盟軍ではない。
コーディネーターはたしかに優秀だ。
だからこそ、数で押せばいい。
こうして、シュターデン艦隊は二個艦隊の挟撃を受けて半分以上を失
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ