第十五章
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私は・・・・・・。影がないのです」
「どういうことですか?」
役はあらためて彼女に問うた。
「それに今の貴女から妖気は感じられない。いや」
彼はさらに言葉を続けた。
「最初に御会いした時から。あの犯人は貴女ではないというのですか?」
「私は人を殺めるようなことはしません」
彼女はこう答えた。
「私は確かに道を求めていますが」
「はい」
「人を殺めるのは。決して道ではありません」
「では御聞きしますが」
役はそれを聞いたうえでまた貴子に尋ねた。やはり警戒は解いてはいない。
「その影は。一体どういうことなのですか」
「これこそが鬼なのです」
「影が」
「そうです影は私の心の裏」
彼女の顔には影ではなく陰が差していた。心にも差していた。
「そして鬼だったのです」
「その鬼が犯人なのですね」
「そうです」
貴子はこくりと頷いた。
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