第十五章
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あった。
その屋敷はやはり異様なまでに大きかった。日本の古き良き趣のある屋敷であり古風な中に雅があった。二人はその中を少女に案内されて入ったのであった。
「確か先生は」
彼女は屋敷の中を見回して貴子を探した。
「こちらです。どうぞ」
「はい」
さらに案内されて庭の中を進む。すると庭の中にある池のほとりに彼女がたたずんでいた。
「先生」
「はい」
貴子は少女の声に応えこちらに顔を向けてきた。
顔を向けると二人と目が合った。同時に動きが止まった。
「お客様ですよ」
「私にですね」
「そうです。先生の御自宅の前におられたので案内しました」
「左様ですか」
貴子はそれを緊張した面持ちで聞いていた。二人の顔も何時になく険しい。
「お話ですよね」
「ええ」
貴子は二人の顔を見据えたまま答える。
「それでは私はこれで。ごゆっくり」
一礼してその場を後にする。気を使って彼等だけにしたのだ。だが果たして三人のことを知っていればそうしたであろうか。そこにはえも言われぬ緊張した空気が漂っていた。
二人と貴子は暫く無言で睨み合っていた。その中でまず役が口を開いた。
「おわかりだと思いますが」
「はい」
貴子はその声に応えた。
「今回は先のとは別の用件でお邪魔しました」
「左様ですが」
「もうおわかりだと思いますけどね」
今度は本郷が口を開いた。
「龍華院貴子さん」
「はい」
彼の呼び掛けに応じて頷く。
「貴女は。一連の事件のことを御存知ですね」
「否定はしません」
彼女はまた答えた。
「三人共。私の弟子でしたから」
「やはり」
「それでは」
二人はそれを受けて動こうとする。だがそこで貴子は言った。
「お待ち下さい」
「ここまで来てそれはないでしょう」
本郷はその右手の指と指の間に短刀を一本ずつ挟んでいた。それでまずは先制攻撃を仕掛けようとしていたのだ。
役も懐に手を入れていた。そこから攻撃を仕掛けようとしているのは明白であった。
「私を見て下さい」
「!?」
二人はその言葉に動きを止めた。
「どういうことですか!?」
だが警戒を緩めてはいない。役の札の焦げたのから予想する限り彼女は相当に強い力を持つ鬼である。それは当然の行動であった。
「私の影を」
「影を」
「はい」
彼女は言った。
「御覧になって下さい」
「一体何を」
影を武器にして襲い掛かることも予想された。魔界の住人はそもそもこちらの世界とは理屈が全く違うのだ。影の魔物もいる。二人はそこでも警戒を怠らなかった。
その言葉通りに影を見る。それを見て二人は落ち着きを維持したまま言った。
「これはどういうことですか?」
「御覧になられた通りです」
貴子は言った。
「今の
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