第四十八話 感情がモロ見えなんだよね
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を庇うのか、騙されているとしか俺には思えない。
それにしてもヘンスローを使って反乱軍を利用するのは無理だな、精々フェザーンの黒狐を引き付ける道具が良いところか……。
『何と言っても現状に不満を持つ元義弟と言うのは利用しやすい存在ですからね、可能性は十分に有るでしょう』
元義弟と言われるだけで吐き気がする。
『私は年内に捕虜交換を反乱軍に提案するつもりです、交換自体は来年になるでしょうね。交渉はフェザーン経由ではなくイゼルローン要塞経由で行います。既に使者も出してある。つまりミューゼル少将を信用していない、当てにしていないという事です』
「……」
俺を信用していないというのは半分以上本心だろうな、不愉快な奴だ。気に入らない、俺をコケにして喜んでいる、嘲笑っている。
『材料は差し上げました、上手く利用してください』
「はい」
手助けしてくれるというわけだ。これで失敗したら役立たずの阿呆、そういう事だな。失敗は出来ない、しかしどういうスタンスを取ればいいのか……。正直頭が痛くなってきた。
宇宙暦797年11月 25日 ハイネセン ジョアン・レベロ
「イゼルローン要塞に帝国から使者が来たそうだ」
「帝国から使者が来た? どういう事かな? レベロ」
周囲を見たが幸い人は居ない。だが声を低めて話しかけた。
「捕虜を交換したいという事らしい」
チラッとホアンは私を見たが直ぐに鹿肉のローストを一口食べた。咀嚼しながら“フム”と声を出した。
「レベロ、この店の鹿肉料理は絶品だな」
「それについては全く同意する、異議無しだ」
レストラン白鹿亭の鹿肉料理はハイネセンでも有名だ。
「それで、その情報は何処から出たんだ。初めて聞く話だが」
ホアンも声を低めている。お互い財政委員長、人的資源委員長を辞めてから情報を得辛くなっている。彼が訝しむのも無理はない。
「ビュコック司令長官からだ。シトレが退役する時、政治家にも知り合いがいた方が良いと私との間を取り持ってくれたんだ。それ以来色々と話をしている」
「なるほどな、という事はその情報は真実という事か」
「そういう事だ、今も交渉中らしい」
ホアンが驚いた様な表情を見せた。
「……それは、現在進行中と言う事か。……驚いたな、例の出兵で潰れたと思っていたが」
「私もそう思っていたが生きていたようだ。勝ったのは帝国だからな、余裕が有るのだろう」
「なんとも羨ましい話だな、レベロ」
「羨ましい話だ」
ホアンが二度、三度と頷いた。そしてちょっと考えるそぶりをした。
「フェザーンではなくイゼルローン要塞か。交渉の窓口は軍という事だな……」
「それが違うらしい」
「違う?」
「相手は帝国宰相の委任状を持っているそうだ」
ホアンが驚
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