第五十五話 刃の使い方その八
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その紫の剣から魔が出た、そしてだった。
その魔は霧の様に溢れ出てスペンサーを囲んできた、その魔が。
彼を覆い息をさせまいとしてきた、それを見てだった。
スペンサーはすぐに加藤への攻撃を止めてその重力を魔に向けた、それで魔を落としてだった。
この場を何とか凌いだ、加藤は何時の間にか大剣から離れて彼の前にいる。
その彼にこう言うのだった。
「重力をどうにか出来なくともですか」
「その重力を使う相手を攻めればいい」
即ちスペンサー自身をだというのだ。
「こうしてな」
「そういうことですね。パイロットも戦闘機がなければ何も出来ません」
確かに身体を鍛えた軍人だがそれでも乗っている戦闘機や攻撃機がないとパイロットは何も出来ないのだ。
それでスペンサーも言うのだった。
「それとは逆に」
「主がいなければ力もなくなる」
「そういうことですね」
「だからあんたを狙った」
こういうことだった。
「重力を使うあんたをな」
「頭もいい様ですね」
「戦いは頭だ」
加藤も言う。
「しかも牽制じゃない」
「確実に倒すおつもりでしたか」
「本気で向かわないと勝てない」
「戦いはそういうものですね」
「相手を舐めるとやられるのはこちらだ」
それで終わるというのだ。
「なら侮らずだ」
「常に倒すつもりで」
「牽制の攻撃にしてもだ」
例えそうしたものであってもだというのだ。
「俺は全力で攻める」
「貴方の戦い方ですね」
「だから今もそうした」
本気でスペンサーを攻めたというのだ。
「生憎倒せなかったがな」
「本当に生憎ですね。しかし」
「しかしだな」
「まだ我々は闘う力は残っていますが」
それでもだというのだ。
「状況は変わりましたね」
「そうだな。来たか」
「はい、もう一人」
ここでこう言うとだった、そこに。
王が来た、王は二人を見て笑顔で言った。
「いや、まさかヒウ足りなんてね」
「予想していませんでしたか」
「そう言うんだな」
「うん、見たところ二人共結構以上に強いね」
王は余裕のある調子で二人に言いながら場に来た。
「さて、戦おうにもね」
「安心しろ、俺は戦うならだ」
どうするかと、加藤は王に鋭い目で言った。
「一人だ」
「組まないんだね、誰とも」
「群れるのは嫌いだ」
こう鋭い目でいうのだった。
「そして大勢を相手にするのも好きだ」
「言うねえ。まるで野獣だね」
王は広瀬のそうした言葉を聞いて楽しげに笑った、その笑みは口だけでなく目もそうさせているものだった。
「一人でやるなんてね」
「おかしいか」
「いや、おかしくはないよ」
そうは言わなかった。
「ただ、本当に野獣みたいだって思ってね」
「一匹で戦う野獣
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