第十三章
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ぐに何のことかわかった。
「三条小橋で発見された死体は京都市在住の大学生」
「やはりな」
そのニュースを陰鬱な気持ちで聞いた。わかっていたことだがテレビで聞くとなるとやはり嫌な気持ちになる。巨人が負けたという心地よいニュースは頭の中から消え事件のことで支配された。
「腹部を鋭い刃物で切り裂かれており」
「血がなかったってのは流石に報道しないな」
ニュースを聞いて思った。
「警察は先の女子高生殺害事件との関連を踏まえて捜査を行っております」
「実は俺達がやってるんだがまあそれはいいな」
そう呟きながらテーブルの上へ手をやる。そして朝食に買っていたパンを一つ手に取る。
「続きまして今朝入ったニュースですが」
パンを手に取るとまた新しいニュースがはじまった。
「ふう」
ここで役も目を覚ました。身体をゆっくりと起こす。
「あっ、起きました?」
「ああ。もう朝なんだな」
「ええ。まあこれを」
「済まないな」
本郷からパンを一個受け取る。それを口に入れる。
本郷はもう朝食を終えていた。食後の一服に煙草をふかしていた。
「今日は昨日の事故現場に行きますか?」
「そうだな」
二人は向かい合ってその日を打ち合わせをはじめた。テレビには注目していなかった。
「今朝未明清水寺にて」
「清水寺!?」
「何か催しですかね」
「この時期あそこでは何も無かった筈だが」
「そうですよね。それじゃあ一体」
「発見された」
「発見された」
「何が!?」
ここで役の携帯が鳴った。すぐに出る。
「はい」
「お早う」
「あっ、これは」
電話の声は警部のものであった。
「遺体は」
「今テレビでもやってるがな」
「はい」
「京都市に住む女子高生の・・・・・・」
「ってまさか」
テレビの放送と電話の話を同時に聞く本郷はまさかと思った。
「第三の犠牲者だ。すぐに現場に来てくれ」
「第三の、ですか」
「多分な。ではあっちでな」
警部はすぐに電話を切った。二人にはテレビでの放送だけが残されていた。
「間違いないみたいですね」
「そうだな」
二人はテレビの放送を見て頷き合った。そして清水寺に向かうことになった。
清水寺は舞台で有名な場所である。この高い舞台から見る景色はあまりにも美しいことで知られている。だが今はその美しい景色も関係なかった。本郷と役は朝靄の中で清水の舞台に立っていた。
「よう、お早う」
「はい」
警部の挨拶に応える。
「悪いな、朝早くから」
「いえ、これも仕事ですからね」
「それで被害者は」
二人はそちらに注意を向けていた。他のことには考えを回してもいなかった。
「あそこだ」
警部は舞台から見える木を指差した。見ればそこに一体の人形があった。
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