第四十三話 クラスではその十二
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「仏教のお寺もキリスト教や天理教の教会もね」
「私もそうした中で生きてるからね」
「尼さんの姿の景子ちゃんも見てみたいかもね」
母はくすりと笑ってこんなことも言った。
「シスターや半被姿のね」
「あっ、天理教の半被ね」
「そう、あっちはあったかしら」
「実は八条分教会でね」
景子達の住んでいる八条町にある天理教の教会だ、天理教の教会としてはかなり大きなものの一つである。
「お邪魔した時には」
「来てるのね」
「駄目かな」
「いいわよ、別に」
母は娘にこのことも笑顔で答えた。
「お母さん達もあそこにお邪魔したらいつもだから」
「あっ、そうなの」
「流石に天理教の教服は着ないけれどね」
天理教で言う法衣はこうした呼び名になっている、神道の神主の服の黒いものと考えていいだろうか。これはそれなりの資格を得て着られるものだ。
「それでも半被はね」
「お母さん達もなのね」
「着てるわよ、お借りしてね」
「そうだったのね」
「そうなの。それ位はお付き合いだから」
いいというのだ。
「気にしなくていいのよ」
「そうなのね」
「だって。あそこにお手伝いに行った時はね」
どの時はちというと。
「和尚さんも神父さんも牧師さんもだから」
「どの宗教でも一緒なのね」
「お互いに助け合ってるでしょ」
「うん、そうよね」
言われてみればその通りだ、この八条町においてはどの宗教も関係なく交流があり助け合っているのだ。
それでだ、天理教の教会においてもだというのだ、
「この町じゃね」
「この町だけじゃないけれどね」
この八条町だけではないのだ、それは。
「他の町もよ。というか日本中がね」
「こんな感じなのね」
「まあうちの町は特別仲がいいかも知れないけれど」
大なり小なりはというのだ。
「日本だとね」
「普通になのね」
「別に宗教が違ってもね」
大した問題ではないというのだ。
「神様も仏様も大事にしないとね」
「そうよね、じゃあクリスマスに教会に言っても」
「止めたことないでしょ」
「というかお付き合いで行ってね」
それでだった、そこで終わらないのもまた付き合いなのだ。
「ケーキ頂いて」
「もうワインも貰えるわよ」
八条町では飲酒は十五歳からだ、だからそれもいいのだ。
「それでお手伝いも忘れずにね」
「そうよね、そうしていけばいいわよね」
「そういうことよ、宗教が違ってもね」
それは些細な問題ではなく、というのだ。
「仲良くしないとね」
「駄目よね、やっぱり」
「だからお互いに来てもらってお手伝いすればいいのよ」
景子の母にとっては宗教の違いなぞこんなものでありそして偏見もなかった、そこには古くからの付き合いもあった。
それ故にだ、娘にも
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