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万華鏡
第四十三話 クラスではその十一

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「あんたも八条神社に行ってもらうから」
「巫女さんのお手伝いね」
「頼んだわよ」
「ええ、わかったわ」
「秋のお祭りは絶対だからね」
 これは神道では大抵の神社でそうなっていることだ、日本人の主流である大和民族が農耕民族なので秋の実りを祝うからである。
 それで八条神社でもなのだ。
「うちのお祭りにも来てもらうし」
「そこまでしなくてもいいのにね」
 上級の教会だからだ、景子はこう思っていた。
 だがだ、母親はこう言うのだ。
「そこは義理堅いから」
「八条さんの宮司さんはなのね」
「そうした方だから、昔からね」
「それでなのね」
「うちも助けてくれるから」
「何か本当に悪いわね」
「だからよ」
 こちらも助けてもらっている、それでだというのわ。
「私達もね」
「そういうことね」
「じゃあいいわね」
「最初から断るつもりないから」
 絶対のことだった、景子の中では。
「行かせてもらうわね」
「お母さんも行くからね」
「お母さんもなの」
「当たり前でしょ、お世話になってるから」
 やはり縁で、だというのだ。
「行かない訳にはいかないわ」
「だから毎年行くのね、私達って」
「そうよ、出来ればあんたが大人になって」
 母はここで先の話もした。
「それで結婚してもね」
「それでもよね」
「うちのことはいいけれど八条神社のことは御願いね」
「うちはいいの?」
「お父さんもいてお母さんもいてね」
「お兄ちゃんもよね」
「そう、だから大丈夫よ」
 この神社のことはというのだ、自分達がいるから。
 だが八条神社のことはだ、付き合いでだというのだ。
「八条神社のことだけは忘れないでね」
「うん、それじゃあ」
「それだけは忘れないでね」
 母は笑顔で景子に言う。
「そうしてね」
「わかったわ。それじゃあね」
「神社も色々とあるけれど」
 忙しいというのだ、そして経済的にやり繰りもしなくてはならない。実際のところ宗教法人も坊主丸儲けとはいかないのだ。
「御願いね」
「うん、私大学でそうした資格も取るし」
 神道、そのだというのだ。
「これからも神社にいたいからね」
「いいの?結構大変よ」
「大変なのは何処でもじゃない」
 笑って母に言う、結局どの世界でも大変なものだというのだ。
「だからね」
「そうなの、じゃあ御願いね」
「うん、私頑張るから」
 笑顔で母に言う。
「何処の世界に行ってもね」
「そうしてね。お寺でも教会でもね」
「あれっ、何か宗教関係ばかりじゃないの?」
「お母さんそうした世界で生きてきてるからね」
 それですぐに話に出したというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、だからよ」
 こう笑顔で言うのだった。
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