第四十三話 クラスではその九
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「頑張ろうな」
「うん、お互いにね」
「全力を尽くしていこうね」
こう話す五人だった、そうした話をしながら帰っていた。
運動会の日は近付いていた、部長はミーティングの場でもまた言ったのだった。
「着ぐるみは洗濯したりして綺麗にしてもらってね」
「それで、ですか」
「私達に送られるんですね」
「ええ、そうなったわ」
こう笑顔で話したのである。
「皆綺麗なもの着てリレー出来るからね」
「そうですか、それは何よりですね」
「有り難いです」
皆部長のその話に笑顔になる、それで言うのだった。
「じゃあ着ても変な病気とかにならずに」
「競技出来ますね」
「そうよ」
インキンや水虫の心配はないというのだ、このことは誰にとってもいいことだった。話す部長も笑顔になっている。
それでだ、部長は部員達にこうも言ったのである。
「私も着るからね」
「えっ、部長もですか」
「着ぐるみ着られるんですか」
「そうされるんですか?」
「まさかと思いますけれど」
「だって。決めた人が着ないとね」
部長が決めた、それならというのだ。
「駄目でしょ」
「だからですか」
「先輩もですか」
「着るわよ」
当然そうするというのだ。
「当たり前でしょ」
「ううん、何ていいますか」
「部長も着られるなんて」
「それは何か」
「凄いですね」
「だから、当たり前でしょ」
部長は部員達に当然といった口調で返す。
「そのことは」
「率先垂範よね」
「それなのね」
「そう、それよ」
部長は今度は二年、同級生の面々に答えた。
「自分が決めたら自分がしないとね」
「そういうとね」
「部長の責任ね」
「格好いいことは言わないけれど」
だがそれでもだというのだ。
「当然のことはね」
「そういうことね」
「流石は部長ってところかしら」
「前の緒方さんが凄かったから」
三年生、引退した彼女達の時の部長である。
「私も負けてられないのよ」
「福園部長としてもなのね」
「そういうことなのね」
「私小さいけれどね」
見れば身長は百五十程だ、宇野先輩と同じ位である。黒い髪をツインテールにした童顔で下手をすれば小学生に見える。
「それでも緒方先輩と同じ位にしないとね」
「まあ背はともかくね」
「緒方先輩高かったからね」
こちらの部長は背が高かった、一六七あったのだ。
「けれど背は置いておいて」
「緒方先輩と同じ位ね」
「しっかりやるわよ」
こう意気込みを見せて語るのだった。
「頑張るから」
「よし、それじゃあね」
「私達も協力するから頑張ってね」
「この運動会も」
「それで文化祭につなげるから」
勢いをだというのだ、部長は強い目で語る。
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