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京に舞う鬼
第十二章
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いう土地でしたね」
 只でさえ京都には百万の市民がいる。一口に言ってもかなり大きな街なのだ。歴史も伊達ではない。そうしたことが幾重にも重なってきているのだ。
「またそうした家は本当に習い事をよくする」
「ええ」
 これもだ。京都の風習であろうか。古い家の娘はお茶にお花に踊りと習い事を身に着けなくてはならにとされる。そうでないと他所様に出せないとまで言われるのだ。古い家、良家はそれで階級めいた閉鎖的な社会にもなっているのだ。ここもまた京都の独特の世界であった。
「多いぞ、それに黒髪のお嬢さんというのも」
「やはり多いですか」
 そしてそうした家は昔ながらの風俗を大事にする。髪を染めたり切ったりするのもやはり好まれないのだ。今はかなり違ってきているといってもそこは京都である。まだまだ保守的でそうしたことには厳しいのだ。
「多いな。少なくとも全てをカバー出来るものではない」
「そうですか」
「我々だけではとてもな。その間にまた犠牲者が出る」
「何か敵の方が動き易いんですね」
「我々は全てを守らなくてはならない」
 役はそれに応える形で言った。
「だが相手はその中の一つを狙って奪えばいい。どちらが有利か言うまでもないな」
「確かに」
「だがそれで諦める程私も諦めがいいわけではない」
「何かやるつもりですか?」
「とりあえず鬼の仕業であることはわかっている」
「ええ」
「とりあえずその三つの証拠も参考に調査を調べていくか」
 そして警部はこの三つの証拠についてまた言及した。
「この三つの証拠はかなり重要だな」
「はい」
 これは役も同意だった。
「それを生かすかどうかはこれから次第だが」
「っていうか生かさなくちゃ話にならないでしょ?もう二人も殺されているんですから」
「では頼むぞ」
「わかってますよ」
 本郷が応えた。二人はまた一つ重いものを抱え込むことになった。この仕事はこうして無限の見えはしない重いものを抱え込んでいくものなのであった。
 この日は事務所に帰って終わりだった。二人は事務所に泊まり込み休む。夕食はコンビニで買ったパンやジュース、それに御握り等であった。
「今日は質素ですね」
「仕方ないな」
 二人は御握りやパンを口に入れながら話をしていた。
「あまり時間がない。それでは食べるものも限られる」
「はい」
「そうした時に。やはりコンビニは便利だ」
「そこに行けば何でもありますからね」
「ああ。とりあえず私はこれを」
 役はサンドイッチにクリームパン、そして午後の紅茶であった。
「君は・・・・・・また多いな」
「食わないともちませんからね」
 本郷は一リットルのペットボトルの壮健美茶に御握り、チーズ蒸しパン、カツサンド、それにフランクフルトとカップヌードル、デザートにプリ
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