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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十七話「編入生」
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 怒り狂う精霊王を鎮めるため二人目の精霊姫を擁立することになり、ルビアの後釜として推挙されたのが、オルデシア帝国第二王女。


 つまりは彼女だ。


 しかし、彼女が精霊姫になることはなかった。精霊姫候補を降りると自己申告した彼女は王家にその存在を『いなかった者』として末梢されたのだ。


 なぜ、精霊姫になることを拒んだのか、今も公表されていない。


 以来、第二王女は表舞台から姿を消したのだが……まさか、こんなところで目にするとは思ってもみなかった。


「彼女の言う通りだ。この学院の門を潜った以上、どのような身分の姫巫女だろうと特別扱いはしない。王女であろうと、男の精霊使いであろうと、災禍の精霊姫の妹であろうとな」


「そういうこと。元王女だけどよろしくね。リシャルトくん」


「ああ、こちらこそ」





   †                    †                    †






 編入生との対面が終わり執務室には俺と婆さんの二人だけになる。フィアナは職員室へ向かった。編入手続きがまだ残っているらしい。


「それで、編入生の紹介だけが用じゃないだろう?」


 もしそれだけだったらさっさと帰るぞ、と言外に告げる。


 婆さんは不機嫌そうに鼻を鳴らした。


「当然だろう、私もそんなに暇じゃない。実はお前にはある特別任務を受けてもらいたい」


「ほぅ?」


 予期せぬ単語に眉が跳ね上がる。


 学院のランキングシステムを支える制度に任務制度というものがある。文字通り与えられる任務を遂行させることでランキングを上げることが可能となる制度だ。


 当然任務内容によって難易度が異なる。剣舞による神楽の奉納もあれば封印精霊の発掘調査。はぐれ精霊使いの討伐など様々だ。


「今回、彼女にはある任務を任せたいのでな。その護衛にお前のチームを同行させたい」


「ふむ。ランクは?」


「難易度Sだ」


「なに?」


 Sランクは学院で提示される任務の中で最高難易度に相当する。当然ぽんぽんと転がり込むものではないし、簡単に受けれるものでもない。


 報酬のランキングポイントは破格だが、場合によっては死を覚悟する必要だってある。ハイリスクハイリターン、それがSランクだ。


 その危険性が故に任務を受けるには一定ランキングを超えている必要がある。現在の俺たちのランキングでは受けることが出来ないはずだ。


「……なにを考えている?」


「とくには。この任務をこなす上で最も適切なのがフィアナとリシャルトだと判断した結果だ。嫌だというなら他に回
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