第十七話「編入生」
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う言葉を聞いて思い浮かべたのは昼間のティータイム。
そういえばリンスレッドが編入生云々言っていたなぁと、今更ながら思い出した。
――なるほど、この娘がそうだったか。
改めて少女――フィアナを見やる。
色白に分類される肌はきめ細かく染み一つない。艶やかなストレートの黒髪はお尻の高さまであり、一見するだけでサラサラしていると想像するのは難くない。
この学院に集まる生徒たちはなぜか美形が多い。フィアナも例に漏れず美形の類いだ――否、飛び抜けて美形の類いだ。
世界を旅してきた中で様々な人を見てきた俺でも彼女ほどの美を持った少女は滅多にいなかった。
そして、この年でモデルもかくやというメリハリのあるプロポーション。
早熟……なのだろう。女性の象徴を制服越しに自己主張している様は男子としてまさに目に毒だ。武道の一環で明鏡止水の境地に立ち、悟りを開いた俺だからこそ意志の力でソレから目を逸らすことが出来るが、普通の男子生徒なら一たまりもないだろう。
――しかし、何か引っかかる……見覚えのあるようなないような…………ん? オルデシア?
はて? 内心首を傾げていると婆さんが補足説明をした。
「ちなみにオルデシア帝国第二王女姫殿下でもある」
「……そんな情報をさもついでのように言うな」
「私にとってはついでのようなものだ」
どこ吹く風の調子で涼しげな態度を取る婆さん。
思わず頭を抱えて座り込んでしまった。
「あーあーあー。なるほど、そういうことか……」
『オルデシア帝国第二王女』、『気が付いていない?』、『三年』。
数々のワードが俺の中で音を立てて合わさり形作っていく。
通りで見覚えがあるはずだ、通りで聞き覚えがあるはずだ。俺の考えが正しければ彼女の訳の分からん言動も納得できる。
彼女が彼女ならば。
――まあ、いい……。いや、よくないけど今は後回しだ。
「……姫殿下を前に無礼を働きました」
その場で膝をつき頭を垂れる。相手は王族。王家や国に忠誠を誓ったわけではないから本来なら膝をつく必要はないのだが、相応の態度というものがある。
――それに、知らない仲でもないしな。
「そういうのはいいわ。ここは学院で私は一生徒に過ぎないし同じ学院生だもの。それに、第二王女と言っても私は『喪失の精霊姫』。すでにいなかったことにされている身分だしね」
自嘲の笑みを浮かべるフィアナ。俺は押し黙った。
『喪失の精霊姫』。四年前、災禍の精霊姫ことルビア・エルステインが火の精霊王を裏切り失踪した。
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