第十七話「編入生」
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れるとは思ってもみなかった俺としては、正直くすぐったい思いだ。
評価してくれるというのはとても嬉しく思う。が、しかし――。
「すまないが、その申し出は受けられない」
心細そうな、不安気な瞳で俺を見つめるパートナーを裏切ることは出来ない。
本人は意識していないのだろうが、その捨てられた小猫のような眼差しはどうも弱いのだ。
意地っ張りでいて、妙なプライドも持ち合わせていながら真っ直ぐな目をしている彼女を裏切るのは、俺にはハードルが高すぎる。
クレアの頭をぽんぽんっと優しく叩いた。
「すでに俺はクレアとチームを組んでいる。そこまで俺を評価してくれる君には申し訳ないが、断らせてもらうよ」
「リシャルト……」
驚いた顔で俺を見上げるクレアに微笑み返す。
「……そうか。残念だ」
一瞬、きゅっと唇を噛んだエリスだったが、すぐに普段の凛とした彼女に戻った。
「すまなかった、突然無理を言って」
「いや、とても嬉しい申し出だった。こちらこそすまないな」
「い、いいのだ。君がそういう男だからこそ、私は……」
「うん?」
ボンっと唐突に顔を赤く染めたエリスはなんでもないと頭を振った。
不意に袖を引っ張られる。振り返ると、頬をうっすらと朱に染めたクレアがもごもごと唇を動かした。
「その……ありがと、ね」
「――どういたしまして」
その様子がまた愛らしく思えた俺はわしゃわしゃと彼女の髪をかき回した。
「わぷっ! な、なにすんのよー!」
「むぅ……わたくしも混ぜてください!」
「な、なに不埒なまねをしている、リシャルト・ファルファー!」
――なに、このカオス……。
† † †
学院長が呼んでいます。
わざわざ告げにきてくれた女生徒に礼を言い、クレアたちと別れて婆さんのところに向かった。
重厚な扉をノックして開け放つ。
「なんの用だ、婆さん」
執務机に座った学院長のグレイワース・シュルマーズ――婆さんは冷たい視線を向けてきた。
「返事をする間もなく入室する。礼儀を知らんのかお前は」
「俺たちの間に礼儀なんて不要だ」
「ふん……違いないな。そもそもお前に礼儀なんてないも同然か」
「それは婆さんだろう。それで? 俺になんの用だ、黄昏の魔女さん」
「用が無ければ呼び出さんよ、謎の精霊使い」
開口そこそこ鋭利
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