暁 〜小説投稿サイト〜
札樽ラプソディー
 札樽ラプソディー
[4/6]

[1] [9] 最後 最初
さわい
でればよかった」
タクシー、車が次々と通り過ぎる。
上着のポケットからライター入りのシガ
ーケースを取り出す律子。
一台のタクシーが近づいてくる。
律子「おーい」
シガーケースを持った右手を上げ大きく
振る。
ライターが隙間から落ちる。
タクシーは通り過ぎてゆく。
律子「回送かい」
  とライターを拾う。
× × ×
律子は顔をうつむいて、煙を吐き出した
らタバコの持つ手を上にあげる動作を繰
り返す。 
ルーフに蟹のロゴをのせているタクシー
がウィンカーをあげ、減速して止まる。
律子「やっと来たかい」

○タクシー・車内(夜)
  赤川琢己(55)がレバーを引いてドア 
を開ける。
  車に乗り込む律子。
赤川「ドア閉めます」
律子「はい」
ドアが閉まる。
赤川「のろし上げてくれてたから助かりまし
たよ」
赤川「あっこれ」
火のついてるタバコを掲げる律子。
赤川「どちらまで」
  タバコに口をつける律子。
律子「下の道[ 高速を使わないでという意味]で小樽」
  煙を吐き出す律子。
赤川「はい了解」
車が動き出す。
赤川「あのタバコ」
律子「やっぱだめですよね」
赤川「長距離なんで大丈夫ですよ。外に向け 
て吸ってもらえば」
律子側の窓が少し開く。
律子「すいません」
× × ×
前髪をなびかせながらタバコを吸う律子。
  ラジオから流れる野球のニュース。
赤川「あしたは吉川様かい。連敗止めてくれ
よ」
運転席シートの背に入ってるチラシをみ
つめ携帯灰皿に吸殻を入れる律子。
律子「女性限定、女性運転手にチェンジサー
ビスカッコ無料やってるんですね」
赤川「使いますか。少し待つことになります
  けど」
律子「女性だから安心とか私は思わないんで
結構です」
赤川「はあ。そうですね」
  窓がゆっくりと閉まる。
  × × ×
律子のスマートフォンにメールが届く。
律子「送料着払いって。あいつ鬼か」
とスマートフォンにつばを飛ばしながら
叫ぶ。
赤川がラジオをFMに変える。
野狐禅・カモメが流れてる。
律子「なんでこれが流れるかな」
律子がにこやかな表情になる。

○(回送)海沿いの幹線道路・歩道(朝)
T・5年前
手を繋いで歩く律子と野積。
律子「もう何時間歩いた?」
野積「わからん。けどやっと海みえたな」
  朝日があがり始める。
律子「海風さぶっ。生きて帰れるかな」
野積「これ着ろよ」
  とジャンパーを律子に差し出す。
律子「あんがとう。ついでそれも」
と野積の耳についてるイヤフォンを指差 
す。
野積「しょう
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ