VSマクワイルド
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てもらった。
自分は礼をするためにはどうすればよいのだろう。
これが自分のチームの先輩であれば、食事に付き合う程度でいいのだろうが。
アレス・マクワイルドがそれを求めるとは思わない。
ならば。
「全力で行きます」
自分の力を見せつける事が一番の礼となるのだろう。
即ち、その想定――決戦の幕が開けた。
+ + +
過去の戦いとは違い、現代の艦隊決戦は実に地味な戦いだ。
特に同数で真正面に戦うことになれば、双方とも横一列の横列陣を作らざるを得ない。
もしこれが狭い星域であったり、決戦に至るまでで動きがあるのならば、話は別になるのだろうが、少なくとも艦隊同士が真正面で戦えば、同じ陣形になる。
下手に艦隊の一部を突出させれば、そこに攻撃が集中して、あっという間に崩壊するだろう。
結果として艦隊の陣形は敵に攻撃し、なおかつ防御しやすい横一列の陣形となる。
青のアレスと赤のライナの軍――双方が同じ速度を保ったまま、接敵。
ほぼ同時に、ライナが攻撃を開始すると同時に、相手の攻撃も始まった。
ライナと同様最も効率の良い射程距離を、相手も把握している。
そう、効率。
と、ライナは戦況に目を走らせながら、小さく呟いた。
戦いに力が求められていた時代とは違い、いま重要視されるのは効率だと思う。
効率良く敵を崩し、効率良く敵を攻め立てる。
それを完璧に行えば、負ける事はない。
こちらの損害と敵の損害。
流れていく情報に目を走らせながら、ライナはその時を待つ。
――いま。
相手の左翼が崩れた――そう見るや、砲撃を左翼へと集中させる。
崩れた左翼を中央が補完するのは見事。
しかし、そうなれば一つ突出するのは相手の右翼だ。
狙いを即座に右翼へと変えて、攻撃を集中する。
一万五千の砲撃を受けた敵右翼は大きく数を減らして、後退した。
それは作業であり、機械的でもあった。
どのタイミングで、どこを狙い、どうなるのか。
それらを冷静なまでに正確に把握する。
言葉にすれば簡単であるが、並はずれた状況判断力と精密性を必要とするだろう。
通常であれば不可能。しかし、ライナはそれを可能としている。
だから、負ける事はない。
と、左右に打撃を食らって、今度は中央が突出する。
どのように動こうとも、艦隊戦になれば奇跡など起こるはずがない。
ライナは正確にコンソールを叩き続けた。
+ + +
「なるほど、確かにこれは……」
後輩思いの後輩から聞かされたとおりの形に、アレスは狭い筺体の中で苦く笑った。
相手の動きは、確かに完璧。
どこにもミスはなく、まさに機械的にこちらを追い詰めてくる。
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