第5章 契約
第75話 夜の森
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医療従事者ではないので定かな事は言えませんが、おそらく、彼女が生死の境を彷徨うほどの傷を負った原因がその辺り。……つまり、人間との間に発生した生息域を巡る争いに端を発して居ると言う事になると思います。
そして、これで彼女の証言から事件の真相に辿り着くのは難しく成ったのは確実。
流石に、心的外傷からの一時的な記憶の封印に過ぎない症状だったとしても、彼女の記憶を無理に呼び覚ますような真似が出来る訳は有りません。
それは、流石に問題が有り過ぎますから。
その後の心のケアの方法までは、流石に俺は知りませんから。
但し……。
【タバサ。この感じだと、森の中を当てもなく彷徨う必要はなくなった可能性が高いな】
俺は【念話】でタバサにそう伝えた。
そう。この寝台の上で上半身のみを起こした形で俺の方を訝しげに見つめる黒髪黒い瞳の少女の心的外傷の原因が、人間との諍いに端を発するモノの可能性が有る以上、最初に向かうべきは翼人たちのコミュニティ。
確かに真夜中に訪れるのは多少……。いや、かなり問題も有りますが、それでも当てもなく森を彷徨うよりは余程マシです。
それに、もし、何の関係もなく、平穏な夜が翼人のコミュニティに訪れて居たのなら、気付かれないように、そっと立ち去れば良いだけですから。
俺の【念話】に対してタバサは、彼女にしては珍しい事に他者から見ても判る形で首肯いて答えてくれたのでした。
☆★☆★☆
ふぅんぐぅ〜るういぃぃ む、む、む、むぐるうぅぅふなふぅ〜
ゴアルスハウゼンのベルナール村長を叩き起こして、飛霊を目の前で呼び出して見せる。
驚く村長に、これが風のスクウェア魔法の偏在だと説明した後、
「もしかすると敵に成るかも知れない翼人の集落と言う物を夜の間に調べて置きたいのですが、場所を教えては貰えないでしょうか?」
……と問い掛けた。
もっとも、俺の仙術は厳密に言うのなら、風の系統魔法とはかなり違う種類の魔法と成るのですが。
まぁ、それでも結果が同じなら、素人目には判断が付く訳はないので同じ物として説明しても問題はないでしょう。
それで、村長に諍いが起きて居る翼人のコミュニティの大体の位置を聞いた後、ゴアルスハウゼンの村の護りに、サラマンダーと俺の飛霊二体。更に、五体の剪紙鬼兵を配置。
万全とは言えないまでも、ある程度。……俺の見込みが外れてこのゴアルスハウゼンの村に何モノかが顕われたとしても、飛霊二体にサラマンダーが存在するのですから、瞬間に村が壊滅する、などと言う事はないと思います。
いあぁ〜 いい、いあぁああぁ、ははは、はすと はすと
そして……。
蒼穹を完全に合一した
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