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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第75話 夜の森
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まどの神さまや、その他の雑多な精は召喚可能。
 そんな連中を急場しのぎに召喚して、更に手持ちの剪紙鬼兵を総動員して山狩りを行えば、某かの情報の断片程度は得られる可能性もゼロでは有りません。

 但し、この程度の連中が為せるのは……。
 それに、この村の規模では、かまどの神として召喚を行い、真面に仕事を熟せるのはこの村長の家に存在する炎の精のみ。
 他の家々の連中では……。

 もっとも、森の妖精に関しては、この村の住人が森の手入れを小まめに行って居る事に因って邪妖精化してはいないようなので、善良な森の妖精が召喚出来るとは思いますが。

「一応、もう一人分飛霊を作り出して、俺とタバサと飛霊二人で方角を定めて探知魔法を行使したら、少しは術の精度も上がるとは思うけど」

 それでも、今晩がスヴェルの夜で有り、ここが辺境の村で有る以上、森の中には元々危険な魔獣・凶獣・亜人などの存在が居て、そいつらが月の魔力の影響で精神的に高ぶって居る可能性が有る以上、高い精度での探知魔法の結果を期待する事は難しいと言わざるを得ないでしょう。

 俺の今から行動可能な策の説明が終わった後、室内はまた、晩秋の夜の静寂が支配する世界と成った。
 但し今回、この室内に存在しているのは耳が痛くなるほどに騒々しく感じる静寂のみ。
 夜の風も。獣の遠吠えも。魔鳥のけたたましいまでの叫びも聞こえて来る事はなかった。

 静か過ぎる。そう、不自然なまでに静か過ぎる夜が、ここには存在して居るだけで有ったのだ。
 まるで、何か膨大な量の黒い物質に、この村の周囲すべてが覆い尽くされているかのような錯覚さえ感じられるほどに……。

 ゆっくりと彼女に用意された寝台から立ち上がるタバサ。その手には何時の間にか愛用の魔法使いの杖が握られ、魔術師の証の闇色のマントを五芒星のタイピンで留める。
 彼女が決断した以上、俺も動かざるを得ない状態。
 本当は、霊的な守りを固めたこの村で一晩を過ごし、明日の朝から捜査を開始した方が安全なのですが……。
 それでも、何かが起きつつ有る可能性を無視する事が出来なかったのですから。

 その瞬間。
 それまでこんこんと眠り続けるだけで有った翼人の少女に、ほんの僅かな違和感が発生する。
 そう。その瞬間に規則正しく続くだけで有った寝息に、少しの乱れが発生したのだ。

 そうして、

 ゆっくりと開かれて行く翼人の少女の瞳。僅かな呻き声のようなモノを発したのは、未だ倒れた瞬間から記憶が続いて居るのかも知れない。

「怪我の方は治療済みやから大丈夫なはずやけど、未だ何処か痛む場所は有るのか?」

 完全に目覚めたとは言い難い少女に対して、そう問い掛ける俺。
 そう。数度の瞬きを繰り返したその翼人の少女でしたが、未だ
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