第5章 契約
第75話 夜の森
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ひとつの覚悟を俺に要求して来て居る。
俺に、彼女を危険に晒す覚悟を。
何故ならば、現在の状況は、この任務に派遣されたのが俺一人ならば何の迷いもなく夜の森に踏み込み、当座の危険はないと判断出来る材料を得てから、明日以降の行動の準備を始める状況。
しかし、今夜それを行わずに先に防備を固めたのは、手持ちの駒が少なく、俺がウカツに動けば彼女を危険な事件に巻き込む可能性が高いと判断したから。
但し、だからと言って、彼女が眠った後に俺一人で行動を開始するなどと言う事は、彼女が吸血姫の血に目覚めた以上、現状では不可能。
間違いなく彼女自身が同行を求めて来るので、それならば明日の朝まで待って、増援が到着してから動き出した方がマシだと判断した結果ですから。
ゴアルスハウゼン村の安全を担保した上で行動するには、今の手持ちの戦力では……。
「方法としてはふたつ」
自らの相棒に促されて、今、俺が持って居る策の内で、実現可能なレベルの積極的な作戦を口にする俺。
但し、これは積極的な方法故に、多少の問題点を内包しているのですが。
「最初は、その翼人の少女を無理矢理叩き起こして、何故怪我をするに至ったのか事情を問う」
これが一番、実現度が高い方法。
この村と諍いを起こしている翼人の少女が、この村の入り口に等しい位置で生命に関わるような大怪我で倒れていたのです。
まして、精霊魔法を操る翼人にこれほどの大怪我を負わす事の出来る存在は、系統魔法使いではかなり限られて来るはずです。
彼女の証言を得られれば、この地方の裏側で起きて居る事件を知る取っ掛かりに成る可能性は少なく有りません。
但し、これは人道的な問題が残るのも事実。流石に死に至る手傷を負った少女を、幾らその少女を助けた人間で、その他の人間に危険が及ぶ可能性が有るからと言って、眠って居る状態の人間をたたき起こすのは……。
更に、彼女は手傷を負って居ましたが、それがこの土地神が召喚出来なく成って居る事態にイコールで繋がっていると決まった訳では有りません。
まったく関係のない事象で、偶然、怪我をした少女を俺とタバサが見つけた可能性だって有るのです。
まして、この怪我をした少女が必ずしも善なる存在だとも決まった訳でも有りません。
残念ながら俺と言う人間は、怪我を負った存在が必ず弱く、正しい存在だと決めつけられる程のお人好しと言う訳では有りませんから。
眠って居る少女の顔を見つめるのは非常に失礼に当たるのですが、それでも、その少女に視線を向けてそう話す俺。
そして、続けて、
「次に可能なのは人海戦術」
土地神を召喚して助力を願う事は出来ませんでしたが、その他の存在たち。例えば、この家に存在する荒神様。つまり、か
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