第5章 契約
第75話 夜の森
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た静寂の中に俺の声のみが不気味に響いた。
但し、旧き神のノーデンス……ケルト神話に伝えられる銀腕のヌアザと同一視される存在に仕えるナイトゴーントならば大きな危険はない。
本当に危険なナイトゴーントの主人と言うのは……。
「但し、這い寄る混沌も必要で有るのなら、彼らを支配出来るはず」
確か、ヤツら……ナイトゴーントの仕事は神の領域を荒らす侵入者を捕らえ、想像出来る内のもっとも恐ろしい場所に置き去りにする事。
ここがもし、ヤツらの言うトコロの神の領域だった場合、侵入者とは俺とタバサの事。
そして、クトルゥフの邪神どもの言う神域と言うのは……。
普段以上に濃い闇を纏った森の奥を一度見つめ、
「何が起きつつ有るのか判らないけど、ナイトゴーントが顕われるなどと言う事は、生半可な厄介事やない」
実際、本能が告げて居るのはここからの即時撤退。何が起きて居るのか判らない以上、一度下がって戦力を整えてから出直して来る事が最善の策。
しかし、クトゥルフの邪神が関係している以上、星辰などが重要な意味を持って居て、正に今この瞬間にも重大な事態が引き起こされる可能性を秘めて居る。
そう、今、森の奥に向かって流れて居るこの風の動きすらも、何か異常な事態の前触れかも知れない。
まして、ゴアルスハウゼンの村に残して来た飛霊やサラマンダーからは何の報告を入れられてはいない。
つまり、村に今、危険な出来事は起きてはいないと言う事。
「さっさとこの森の奥に有る翼人。彼らのコミュニティに辿り着く。其処から次の行動を考えたとしても遅くはない」
最後の言葉を告げる瞬間だけ、それまで森の奥。深淵の向こう側に向けていた視線を、自らの傍らに存在する少女に向ける俺。
同じ時。それまで同じ方向を見つめて居た少女もまた、俺の方向に視線を移し微かに首肯く。
けぅひゅぅはぁやぉあく ぶるぐぅとぉむ ぶ、ぶ、ぶぐとぅらあぐりゅん
その瞬間。矢張り、風の音とも、不気味な異世界の生命体が発する苦鳴とも、呼吸音とも付かない音が一際高く成ったように俺には感じられたのだった。
☆★☆★☆
ゴアルスハウゼンの村長に教えられた其処が近付いた事が、否応なく感じられる。
そう。闇の気配と言う物がまるで生き物で有るかのように蠢き、何かに導かれるようにして一方向へと流れて行くのが簡単に察知出来るように成って来て居たのだ。
その刹那。眩暈のような奇妙な感覚を捉える。
それは……。まるで、何か強い力に引き寄せられるかのような。急に、前方に向かって地面自体が傾いで、二歩、三歩と蹈鞴を踏まされたような感覚。
ぶるぐぅとむ ぶぐとらぐりゅん ぶぐるとん いあいあ はぁす
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