第一章〜囚われの少女〜
第十七幕『行方』
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りました。
私はなんと……愚かな事を……」
「ああ……。ああ……、エリオなの。
助けてくれたのね。
私の事を……思い出してくれたのね」
切り取られたように闇色の空は裂けてゆき、そこからは晴れ間が広がった。
雲一つなく澄み渡った、水のような色の空。
しかしそこに在ったのは、暗黒色の悪なる騎士だった。
本来の人間らしい声を取り戻したエリオ。
しかし姿はそのまま、邪悪な色のままだった。
「ああ……再びこうして、あなたと会話ができることを。
どれほど思い焦がれたことでしょう!」
ジュリエッタはエリオの姿を気にも留めず、昂ぶるそのままの想いをぶつける。
「私も……再びこうしてジュリエッタ様にお会いできるとは……。
これは神の御慈悲なのでしょうか?
しかし……私の罪は消える事は有りません」
エリオは邪悪な姿のまま、俯く。
「ああ……エリオ、どうして。
どうしてこんな事に」
先ほどまでの昂ぶりは、悲哀に満ちた嘆きに変わった。
ジュリエッタは、エリオが背負ってしまった運命を理解した。
エリオはもう、この国では生きてゆけない。
国を滅亡へと追い込み、この国で殺戮を起こした。
大罪を犯した大悪人として、極刑によって死する事となるだろう。
「最期にこうして、あなた様と出会えたことに感謝いたします」
エリオは全てを悟ったように儚く、柔らかに微笑んだ。
「エリオ、私の愛しい人……。
せっかくまた会えたというのに、どうして?
どうして……」
その瞳には、この空のように透明な水が湛えられていた。
ジュリエッタは泣いた。
まるで子供が泣きじゃくるかのように。
素直に、どこまでもわがままに。
エリオの胸を濡らしながら、そこにしがみつく。
「あなたと離れるのは……もう、いやなの。
もう……どこへも行かないで。
ずっとそばにいて、また私をこうして守って……」
エリオは優しく微笑んだまま。
「姿は見えなくとも、私はあなたのそばにいます。
いつでもあなたとともに。
いつまでもずっと、あなたを見守っています」
エリオはジュリエッタを優しく、ゆっくりと離す。
そしてその瞳を真っ直ぐ見つめる。
「籠の中に閉じ込められていた、囚われのあなたはもう、どこにもいません。
ジュリエッタ様、あなたをお慕いしております。
あなた様らしく、どうかお幸せに――」
宙を漂っていた、聖なる騎士はその白槍をエリオへと向けた。
ジュリエッタの目が大きく見開かれたのと、槍が黒の甲冑を貫いたのは、ほぼ同時だった。
倒れるエリオ。
エリオの闇は塵となり、大気に消えた。
すでに息のないエリオは、人間としての姿を取り戻していた。
しかし、ジュリエッタはすべてを失った。
残
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