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男子校×全寮制=薔薇がさく
第弐章 【委員会編】
男子校×全寮制=薔薇がさく 【第五話】
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四月の中頃、一年生にとっては初めての委員会会議。
伊吹と羽衣は図書室にむかって歩いていた。 そこが図書委員会の活動場所のようだ。
先ほど別れた椎名と一条も、それぞれの専門場所に行った。

「なんか緊張するなぁ」
「そうだねっ。 でも他の委員会より穏やからしいよ、図書委員会」

昨日は楽しみでしょうがなかった伊吹だが、いざ対面となると心臓がドキドキして鳴り止まない。
羽衣は伊吹といるだけで心臓が破裂しそうなのだが、昨日に比べてどもらなくなったのは大きな進歩だ。
それでも頬はふんわり染まっていて、周りから見れば意識しまくっているのがバレバレなのだが。

他愛もない話をしながら歩いていると、案外すぐに目的地に着いてしまった。
ガラガラと音を立てながら扉を開ける。
中にはすでに一年生が何クラスか集まって、図書室の机に集まっていた。
「あ、ねぇねぇ。君たちも一年でしょ? こっち来て」
その中心にいた男の子が手招きしてくる。 羽衣の手首をきゅ、と掴みながらその輪にはいっていく。

「なになに? 先輩とか来てへんの〜?」
伊吹が近づいていくと、ぼんやりしていた顔が露になって、可愛い男の子も男前な子も目を丸めた。
遠くにいると地味で、綺麗な顔がまったく分からなかったのだ。
輪の中心にいた男の子が、ハッとして仕切りなおす。

「そうなんだ。先輩達がまだ来てないから、ここで駄弁ってたんだ」
「委員会会議って何分からやっけ?」
「三十分だよ。みんなちょっと早かったね」
指差す時計を見てみると、まだ二十分だった。

羽衣は恥ずかしそうに俯いているが、こっちは完全なるキャラ作りである。
伊吹が他の一年としゃべりだすと、他からは見えない絶妙な角度で、不機嫌そうに顔を歪めた。
(ちっ。楽しそうにしゃべりやがって......僕の伊吹くんなのに)

自分の方も気にかけて欲しくて、伊吹の手首をきゅうっと握ってみる。
「んん? 羽衣ちゃんもしゃべりたいん? ごめんごめん、ほったらかしにして」
伊吹はそう言うと、自分の前にひとまわり小さい羽衣をひっぱると、後ろからぎゅうっと抱きしめる。

「この子、香月羽衣ちゃん。 かわいいやろ〜」
「羽衣ちゃん? よろしくね」
色んな人から頭をなでられて、不本意ではあったが恥ずかしそうに笑って見せた。
「「「かわいい〜」」」
「ちょっとちょっと!羽衣ちゃんは俺のなんやからなぁ!」
そんな不毛な議論が繰り出されようとしたとき、図書室の扉がひらいた。

ピタリととまる一年生達に、二年生と三年生も固まる。
先輩側としては
図書委員会に入るくらいなのだからイスに座って静かに本でも読んでるかと予想していたが、一年生全員がもみくちゃになっていたので、ビックリして
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