月ニ叢雲 花ニ風
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マスターは怒りを込めた・・・否、怒りしか篭っていない声で呟く。
バリィン、と花瓶が割れ、稲妻に似た光が走り、窓も割れる。
「あれは何のマネじゃ・・・お?」
「これはこれは・・・お久しぶりです、マカロフさん。6年前の定例会依頼ですか・・・いやぁ、あの時はまいりましたねぇ。ちょっとお酒が入ってたもので・・・」
怒りの声のマスターに対し、ジョゼの声は普通だ。
マスターは右腕を伸ばし、ジョゼを殴り付ける。
「世間話をしに来たわけじゃねぇんだよ、ジョゼ」
「ほほほ・・・それはそれは」
・・・が、殴られたはずのジョゼは無傷だ。
ブッ、ブブッと映像が乱れるようにジョゼがブレる。
「思念体じゃと!貴様・・・このギルドから逃げたのか!?」
「聖十大魔道同士の戦いは天変地異さえ起こしかねない。私はただ合理的な勝利を好むものでしてね」
「どこにおる!正々堂々来んかい!」
マスターが叫ぶ。
すると、ジョゼの足元に1人の少女が現れた。
「!ルーシィ!?」
それはマグノリアでエレメント4の大地のソル、大海のジュビアに囚われたルーシィだった。
両手首を縄で縛られ、目を閉じている。
「な・・・なぜ・・・!?」
驚くマスター。
するとジョゼはナイフを取り出し、それをルーシィに向けて振り下ろす!
「よせぇっ!」
マスターが叫んだ、瞬間。
その背後にエルフマンと同じくらい、もしくはそれ以上の大男が現れる。
(しまった!こやつ・・・気配が無い!)
「かっ、か・・・か・・・」
その男は目隠しをし、見えない目から涙を流している。
この大男の名はアリア。エレメント4の1人『大空のアリア』だ。
「悲しい!」
「くぁああっ!」
アリアが両掌をマスターに向ける。
「ほほほ・・・我々がルーシィ様を殺す訳ないでしょう。今はまだ・・・ね」
ジョゼのナイフはルーシィに当たらず、そのすぐ近くに落ちる。
「ああぁああ!」
ビキビキビキ・・・とマスターはアリアの魔法を喰らう。
反撃したいところなのだが、なぜか力が全く出てこないのだ。
「まさか自分のギルドの仲間だというのに、ルーシィ・ハートフィリア様が何者が御存じない?まぁ・・・あなたにはもう関係のない話ですが・・・ね」
ジョゼの言葉が終わると同時に、組み木をへし折ってマスターは下に落ちていく。
「悲しすぎる!この悲しみはどこから来るのだ!嗚呼!偉大なる魔導士が消えゆく悲しみなのか!」
アリアの涙と叫びだけが、最上階に響いた。
ズドン、と音を立て、何かが落ちてきた。
「それ」が何なのか、一瞬その場にいた全員は判断出来なくなる。
「え!?」
「何だ!?」
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