第一部
開戦
Obtaining
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泣き腫らして落ち着いてくると少しずつだが状況が呑み込めてきた。
まず自分がとても大きなベットにいること、部屋がとんでもなく広いこと、天井が常識的な高さでないこと、家具が一々煌びやかなこと。
これだけで自分の部屋との違いがよくわかる。
たかだか4畳の部屋から推定30畳以上の部屋にいるとか信じられないが感触とかその他諸々本物と変わりがないため信じるしかない。
父から教わったこと其の一、
『見知らぬ部屋はクリアリングせよ。』
要は安全確認。
何が起こるかわからない以上こうするほかない。
まずはベットの下を覗く。すると靴が見つかった。
《小鉢はブーツを手に入れた》
!
何か頭に声が響いた。
これが噂のニュータイプとかいうものか?とにかくブーツを手に入れた。これで靴下のまま歩かないで済む。
念のためブーツに手を入れて中を確認して、特段異常がないことを見てから足を入れる。ブカブカだったブーツは瞬く間に小鉢の小さい足にフィットする。
訳が分からないが兎に角足に異常はない。
「どういうこと……。」
ベッドの近くに立っていたクローゼットの引き出しに手をかけ開けると、武器がたくさん入っていた。
流石に一介の高校生には刺激が強すぎて引き出しを勢い良く閉め、背中をクローゼットに預けてへたり込んでしまう。
胸に手を当てつつ立ち上がり、もう一度そっとクローゼットを開ける。
父親の部屋でエアガンは何度か見たから耐性はあると思っていたし、銃の写真も何度も見た。なのに緊張する。
いわゆるアサルトライフルが整然と並べられており、小鉢は動悸が激しくなる。
「うっ……。」
心拍数が極度に上がりまたへたり込んでしまう。
「はぁはぁ……。」
やっとの思いで引き出しを閉めてベッドに倒れる。
奇妙で理解が追いつかない事ばかりで疲れた。なにがどうなっているのかさっぱりわからない。ネット小説の主人公のように瞬時にすべてを理解して無双とは行かない。
ただの女子高生になにを期待しているのか、ここの人間は。
次第に瞼が落ちてきて小鉢の意識がおぼろになり、しばらくすると身動きしなくなる。
深い眠りに落ちた小鉢は父との再会を切に願い、記憶にない母に思いを馳せる。
幼くして母を亡くした小鉢には父がすべてのように思い、また父である火鉢も小鉢を一心に愛した。
土屋の家に生まれた為に小鉢と名付けられたが火鉢はもっと違う名を付けたかった。自身のように生きて欲しくなかった。
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