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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
九十四話:それぞれの役目
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待ちかねたように玉座から立ち上がります。

「兄上!お待ちしていました!それで、鏡は」
「ああ。取ってきた」
「本当に、あったのですね……!良かった、これで被害を少しでも抑えることが出来ます!それで、この後ですが」
「ああ。俺たちは、このまま義母上のところに向かう。お前は、ここで待て」
「……はい」

 少し間を置きながらもヘンリーの言葉に頷き、悔しそうに俯くデールくん。

 その姿を真っ直ぐに見据え、ヘンリーが言葉を続けます。

「デール。わかっていると思うが」
「はい。僕の役目は、兄上のように前に立って戦うことではありませんね。国王として何としても生き残り、戦いが済んだ後に全てを収めること。……元々、自分で奴らを排除出来る程の力を持たないからこそ、これまで助けを待つしか無かったのですから。今も僕に出来るのは、待つことでしかありません」

 俯いたまま無力感を噛み締めるように言うデールくんに、更にヘンリーが言葉を続けます。

「そうだ。国王が一介の戦士や兵士のように、自らの身を危険に晒して戦う必要は無い。戦いが終わったその先にあることこそ、お前にしか出来ないことだ。今は、守られるのがお前の仕事だ。魔物のことは、俺たちに任せろ。その先のことは、頼む」

 デールくんが顔を上げ、ヘンリーを見詰め返します。

「……兄上。その先は……」
「言うな。俺は、国王には相応しく無い」
「……そうでしょうか」
「そうだ。俺は、この国のことを第一には考えられない」
「……兄上。それは……」

 しばしヘンリーの瞳を物問いたげに見詰めた後、なぜかこちらを見てくるデールくん。

 え?なんですか?
 私に、ヘンリーを説得しろとでも?

 この国の王位とか別に私に関係無いし、兄弟二人で話し合って決めればいいと思うんですけれども。
 見たところ、どっちもそれなりに出来そうではあるし。
 どっちが頭でももう片方が支えるんだろうから、どっちが王でも実質関係無い気もするし。

 そんなことを思いつつ黙ってる私からデールくんがまたヘンリーに視線を戻し、諦めたように微笑みます。

「……わかりました。王位のことは、それでもいいです。元々、十年前から覚悟していたことですから。ただ……後で少し、話をさせてください。この十年のことも、この先のことも」
「……わかった」

 よくわかりませんが、なんだか話がまとまったようです。
 ……まあ、十年前の時点で洗脳工作はほぼ完了していたわけだし。
 兄弟だけで通じ合う、何かがあったんだろう!

 一人納得する私を他所に、デールくんが今度はマリアさんに視線を向けます。

「ところで、そちらの女性は?見たところ、荒事に向くような方では無いようですが」
「ああ。こちら
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