第二章
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ね。まず有り得ない」
「そうだな」
また本郷の言葉に頷く役だった。
「その有り得ないことも。調べてみるか」
「今回は術も使わないでよさそうですね」
本郷は一歩足を出した。歩きながら役に述べた。
「相手が人間ですしね」
「さて。どうしているかだな」
話をしながらまた前に出た。渡邊の部屋はこのマンションの二階にあった。部屋のチャイムを鳴らすとすぐに人相の悪い男が出て来た。紛れもなく渡邊だった。
「おまわりか?」
「ああ、悪いけれど違うんだよ」
本郷が彼に答えた。
「俺達は探偵だ」
「探偵!?何でそんな連中が来るんだよ」
「ああ、来た理由は警官と同じだよ」
軽い調子で笑いながらの言葉だった。
「あの女の子の行方を捜してるんだよ」
「何だ、あいつのかよ」
渡邊は本郷のその言葉を聞いてせせら笑う顔を見せてきた。
「無駄だと思うぜ。知らないからな」
「もう一度捜査したくてね。いいかな」
「ああ、いいぜ」
断るどころかせせら笑いながら言うのだった。
「調べてみな。好きな場所をな」
「じゃあそうさせてもらうぜ」
「それでいいな」
それまで本郷の後ろにいるだけだった。役も出て来た。
「では早速」
「お邪魔させてもらうよ」
「どうぞどうぞ。好きなように好きな場所を調べな」
部屋の中に上がってきた二人を歓迎はしないが自信に満ちた声で迎え入れた。
「好きなようにすればいいさ」
「ああ、お言葉に甘えてな」
「そうさせてもらう」
二人は早速家中の捜査をはじめた。トイレも浴槽も調べた。当然他の場所も。しかし手懸かりとなるものは何も見つからなかった。捜査が終わるとまた渡邊のせせら笑う顔が見えた。
「御苦労さん。残念だったな」
「ああ、悪いことをしたな」
「別に。俺は何もしていないからな」
だがそれが嘘なのはすぐにわかることだった。せせら笑うその顔こそが何よりの証拠だった。
「また何かあったら来てくれよ」
「そうさせてもらうさ」
わざとらしくすらあるやり取りの後で事務所に帰る。まだ捜査を受けたその日だがもう本郷も役も事件が解決したような顔になっていた。
その顔で二人はまず事務所に帰った。そこでとりあえず夕食を摂る。夕食かカレーだった。
そのカレーは本郷はエビフライカレー、役はカツカレーだった。前もって煮込んでいたカレーに買って来たエビフライとカツを入れたものである。それをそれぞれ食べていたのだ。
「さて、と」
本郷はそのエビフライカレーを食べながら時計を見た。まだ六時だ。
「店に行く時間はありますね」
「充分だな」
役は本郷の今の言葉に頷いた。
「店に行くにはな」
「そうですね。確かに」
本郷は役の言葉をさらに聞いて笑みを浮かべさえした。
「カレーを食べて
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