六十 鬼人VS怪人
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最初から橋の上のみに結界を張り巡らせておいたのだ。外からは無人の橋に見えるし、また、誰も橋付近に近寄れないよう人払いを頼んでおいた。仮に乱入者がいたとしても香燐の目は誤魔化せない。
【神楽心眼】により現在周囲を警戒している彼女からの報告が無い限り、暫くは大丈夫だろう。
「それにこの結界内ではチャクラを使えない」
ナルトの言葉に耳を傾けていたイタチが目を瞬かせる。試すよう無言の訴えを受け、似た顔が似た表情で渋々チャクラを練った。当初は訝しげに顰められた眉が徐々に驚愕で吊り上がる。サスケの【千鳥】はすぐさま飛散し、イタチでさえも術を発動出来ない。
チャクラが使えない理由がナルトだとわかる。わかっていても問い質す事が二人はなぜか出来なかった。
どうしてだか何か得体の知れないモノが彼の周りで蟠っているように見えたのだ。同時に自分達がまるで、とぐろを巻いた蛇の中にいるかのような錯覚に陥る。
当惑する兄弟を尻目に、ナルトが静かに口を開いた。
「忍びは忍び同士、同じ立場で同じ目線で、向き合い、語り合うべきだ」
イタチは押し黙っている。だが彼の瞳にはナルトではなく、サスケが映っていた。弟の困惑顔に視線を走らせる。
それから観念したようにイタチは瞳を閉ざした。裏で色々と手を回してくれたナルトの姿が目蓋にすら浮かび上がる。
やがて目を開けた彼の視界で、その当人が最後の宣告を下した。
「サスケは真実を知る必要がある」
鋭く眇められた青の双眸が兄と弟を真っ直ぐに見据えていた。有無を言わさぬその眼光に射竦められ、イタチの口許から自然と苦笑が零れる。昔と変わらぬ兄の笑みをサスケが驚いて見つめる中、彼はとうとう語り出した。
「許せ、サスケ…」
唯一無二の、弟へ。
「今度とは言わず、今、話そう」
真実を。
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