暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
六十 鬼人VS怪人
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れず、後ろへ振り被る。
再不斬と同じく水分身を作っていた鬼鮫の本体。背後に佇む彼に首切り包丁の切っ先を向ける。

「安心しな。さっきの奴らなら足止め食らってるぜ。木ノ葉の増援は来ねえよ」
「ほう?」

切っ先を喉元に向けられていながら、鬼鮫の顔は別段変わらない。むしろ興味深そうな目で再不斬を見遣る。


つまり自分達以外の者がアスマと紅の相手をしているのだろう。再不斬の口振りからして彼の部下…いや道具と言うべきか。彼は己に役に立つかどうかで考える節があったから、と鬼鮫はかつての再不斬に思いを馳せる。


「あんたの鮫肌と違って、俺の愛刀には特殊な能力がないからな。他のモノで代用するしかねえんだよ」
「なるほどねえ…別の道具か何かで補っているとかですかね?」

霧が深い。どれだけ目を凝らしてもアスマと紅、ましてや橋でさえ見えない。イタチさんはどうしてますかね、と考えていた鬼鮫の思考は再不斬の短い否定で遮られた。

「いいや」
「では部下?一匹狼だった貴方が?」

首切り包丁が喉元を掻っ切らんと迫る。それを仰け反る事で回避した鬼鮫が己の愛刀を空へ投げた。意思を持つ鮫肌が口をグバリと開ける。


再不斬目掛けて落下。衝撃で激しく巻き上がる水飛沫。



その荒波は鬼鮫にも多大に押し寄せてくる。直後、波を突っ切って眼前に鮫肌が勢いよく突っ込んで来た。顔に突き刺さる寸前に素早く柄を引き戻す。
戻ってきた鮫肌を手に、鬼鮫は波の発生地へ目を向けた。



襲い掛かってきた鮫肌を逆に鬼鮫へ放り投げた張本人。鬼鮫の無事な姿を見て取って、チッと舌打ちした再不斬が首切り包丁を肩に担ぐ。


平和な会話の反面、壮絶な戦闘を繰り広げた二人の背には、場に相応しくない美しい虹が出来ていた。



「ちげえよ」
全身から水を滴らせながら再不斬が首切り包丁を軽く払った。キラキラと飛び散る水滴。

先ほどの鬼鮫の問いを律儀にも否定してから、再不斬はニヤリと口角を吊り上げた。そして顔に似合わぬ答えを告げる。

「道具でも部下でもねえ…―――仲間だ」




















「イタチ、俺は貴方が嫌いだ」
「そうかな?…俺は似ていると思うが」
「……だから嫌いなんだよ」

似た者同士だからこそ、ナルトはかつての仲間を苦々しげに見つめた。視線が絡み合う。


「……手ぇ出すな…!」
蚊帳の外になっていたサスケが声を張り上げた。ナルトの手を振り払う。覚束ない様子でふらつく彼の身をナルトはさりげなく助けた。囁く。


「復讐するな、とは言わない。だがその野望が叶ったと同時に、君は絶望を味わうことになる。復讐して後悔するのなら、止めておいたほ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ