六十 鬼人VS怪人
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はイタチだった。
「なぜ俺が来ると知っていた?」
訝しげな声音を耳にして、ナルトがふっと目を細める。
「事前に鴉を里へ放っていただろう?」
中忍本試験前。ヒナタに落とし物を届けたあの夕刻、ナルトは木上から見下ろす鴉の視線に気づいていた。イタチの口寄せ動物だとすぐ察したが、わざと気づかぬふりをしたのである。何れ出会うだろうから、と。
そして今、彼は予測通り、鴉の主人と数年ぶりの再会を果たしたのだった。
前以て里内部を把握する為に鴉を派遣していたイタチ。三代目火影の死を聞きつけ、すぐさま里に赴いた彼は目を瞬かせた。やがて口端を微かに上げる。
「流石だな…君にはいつも驚かされる」
イタチの賞賛に、ナルトは微笑みで応えた。白と再不斬を目の端に捉えつつ、欄干から降りる。途端、彼は怒声を浴びせられた。
「邪魔、するんじゃねえぇッ!!」
割り込んできたナルトにサスケが怒鳴る。再び手にチャクラを込め始めた弟の腹を、イタチはいきなり蹴った。
吹き飛ばされたサスケをすぐさまナルトが抱き止める。
「容赦無いな。もっと丁重に扱え……弟、なんだろ」
「…………」
「…いや、逆か。甘すぎるんだ」
無言で佇むイタチ。無表情だがその奥に微かな動揺を感じ取り、ナルトは次の言葉を紡いだ。
「弟想いなところは相変わらずだな――イタチ」
白刃が煌めいた。
激しい戦闘で巻き上がった水飛沫を一閃する。波間から垣間見えた二人の表情はよく似ていた。
ギラギラと輝く、獰猛な獣の如き瞳。まるでお互いにお互いがとっておきの獲物を見つけたかのように。
刀と刀の応酬。無数に繰り出された術の数々。
それでもなぜかさほど酷い惨状にならないこの場も、騒ぎを聞きつけて来る者すらいないという不可解さも、戦闘に夢中であった彼らには疑問一つ生まれなかった。
あるのは目の前の相手を倒す、ただそれだけ。
「それにしても木ノ葉の忍びの方々は何をしているんですかねぇ」
今思い出したとばかりに周囲を見渡す。鍔迫り合いをしつつの鬼鮫の言葉に、再不斬がへっと鼻でせせら笑った。
「余所見たぁ、余裕じゃねーか」
「暗部など呼ばれたら厄介でしょう?お互いに」
下からかち上げるように太刀が迫る。それを辛うじて避けた鬼鮫が再不斬の足を狙う。
それを宙に跳んでかわした再不斬が空中で回転しながら印を結んだ。途端、鬼鮫の背後から再不斬の水分身がぬっと現れ、彼を羽交締めにする。
その脳天目掛けて振り落とされる首切り包丁。
鬼鮫の顔が割れる。かと思えば、二つに別れた口がにやりと笑った。
そのままバシャッと水に化した鬼鮫には目もく
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