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コールドクリーム
第一章
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ばかり起こしたそうで」
 これまたよくある話だった。
「万引きやら煙草やら。そんな奴と付き合ってどうなるかと思っていたら」
「行方不明になったと」
「捜索願いは出しました」
 真剣な顔だった。やはり娘が心配なのがわかる。
「警察にもお話しましたがそれでもわからず」
「こうして私達のところに来たと」
「たまたまです」
 こう述べてきた。
「本当にたまたまここの事務所の前を通り掛かって」
「またそれは随分運のいい」
「運がいいんですか」
「これで事件は解決ですよ」
 本郷は明るい笑顔で述べる。どうやらかなりの自信があるらしい。
「俺達のところに来たからには。お任せ下さい」
「そうなのですか」
「何、人間が相手ですよね」
 彼は笑顔でまた言うのだった。何故かここで人間という言葉が出た。
「だったら楽勝ですよ」
「人間だったら?」
「こちらでのお話です」
 役が出てこう述べてその話を消した。
「とにかく。事件の解決はお任せ下さい」
「はあ」
 役の言葉をそのまま聞いて応えるのであった。
「それで御願いできますね」
「無論です」
 役もここでははっきりとした言葉になった。その言葉を聞いて前川もそれに賭けることにした。意を決した顔になってあらためて二人に言った。
「それでは」
「お任せ願えますね」
「お金はあります」
 お金の話はこれで終わった。
「これだけです」
 小切手を差し出す。そこに書かれているのは二百万であった。
「これで如何でしょうか」
「わかりました。では百万で」
「百万で」
 向こうからいきなり半分と言ってくるとは思わなかった。前川は思わず目を丸くさせた。だが言った本人である本郷は笑みを浮かべ続けてまた述べるのだった。
「三日で終わる仕事ですから」
「三日で、ですか」
「明日容疑者のところに言ってそれでちょっと調べて終わりです」
「それで三日ですね」
 役も述べた。
「容疑者はその先輩ですよね」
「はい。渡邊和博」
 写真からは見るからに碌でもない生き方をしている人相の悪い人間が出て来た。さながらヤクザかゴロツキ、チンピラといった感じである。
「この男です」
「ふむ、この男ですか」
「どう思われるでしょうか」
 前川は真剣な顔で二人に尋ねてきた。
「少し拝見しただけですが」
「碌な男じゃないですね」
 最初に述べたのは本郷であった。
「そう思われますか」
「俺は人相見じゃないですけれど仕事柄色々な顔を見ますんで」
 人間以外も、というのはここでは隠すのだった。今回の仕事はそうしたものではないとはっきりとわかっているからであった。そのうえでの言葉である。
「まあこうした顔は碌でもない奴ですね」
「やっぱり」
「それにです」
 今度は役が述
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