暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
第五十話〜新たな誓いと歩み〜
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
あの3人を助けたんだい?」

 それは効率だけを考えたのであれば、敵の中核戦力であるチンク、ノーヴェ、ウェンディを見捨てた方がライにとっては得である、というジェイルなりの疑問であった。
 ライは立ち止まって振り返り、淀みなくその答えを口にした。

「妹を見捨てる兄になりたくはないからだ」

「くっくっ――そうか」

「こちらからも最後に言っておく」

「何かな?」

「ヴィヴィオを生み出した要因の一端が貴方にあると言うのなら、そのことには感謝する。だが―――」

 ライはそこで自分の扱える最大の殺気を放ちながら口を開いた。

「ヴィヴィオを物として、兵器として扱った報いは受けてもらう」

 それだけ言い終えると殺気を解き、今度こそライはその場を後にした。
 ライの姿が見えなくなると、ジェイルは着ていた白衣のポケットに入れていた手を出し、その手のひらを眺めた。

「君は最後に恐怖までも、僕に教えてくれたのか」

 ジェイルの見た手のひらはじっとりと汗ばみ、小刻みに震えている。しかし、ジェイル自身はその顔を歪な笑みで歪ませていた。



スカリエッティアジト・一室


(ナンダアレハ?)

 自分の中で生まれた感情が制御できず、彼女は自身の体を抑えるように抱きしめる。

(ナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハ ナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハナンダアレハ)

 最初はただの興味本位であった。皆に内緒でサーチャーを使い、自分達の敵であり、兄である存在がどんなものなのかを知ろうとしただけであった。
 そしてコイツも他人のことばかり気にするつまらない愚物と感じた。それが彼女の正直な感想。しかし、別れ際の彼の目を見てそんな考えはどこかに消えた。
 その日、戦闘機人クアットロは未知の恐怖と理解できないことの恐怖。その2種類を同時に体験することになった。



スカリエッティアジト・出入り口


 ルーテシアとメガーヌに合流したライは念話で蒼月とパラディンに静かに宣言する。

(蒼月、パラディン。僕はもう我慢しない。全力を持って皆が笑うことの出来る世界にする)

 ライのその言葉に応えるように2機も誓う。

((この身がただの鉄くずに成り果てるその時まで、我らは貴方の剣となり、盾となり、翼になる。そして我らが主の行いが主の望む世界の礎にならんことを祈ります))

 そして宣誓を終えた王は静かに一歩を踏み出した。








[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ