第五十話〜新たな誓いと歩み〜
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スカリエッティアジト・一室
ライが先ほど発した言葉。それを理解するのに、ジェイルは数秒の時間を要した。
「どういう……ことかな?」
目の前に座る青年の言葉の意味を追求するように言葉を返すが、その声は少し震えている。それは歓喜からか、それとも興奮からか、少なくともその瞳には喜色を浮かべていた。
「追求しなければ解らないほど、貴方は愚鈍なのか?」
「……」
ライの挑発の言葉を受けても、ジェイルは反応を示すことができない。何故なら、もう自分の中で答えが出てしまっているのだから。
そしてその答えが出たからこそ、ジェイルは今自分が<識る/生きる>為にその言葉を口にする。
「いいだろう……先ほどの取引に応じようじゃないか」
ほくそ笑みながらそう答えるジェイル。その反応と答えに少しだけ目を閉じ、気付かれないように安堵の息を吐くライであった。
一時間後
取引の条件としてライが自らの過去を語り始めて一時間が経過する。その間、ジェイルはどこか英雄の冒険譚に憧れる子供の様にライの話を聞いていた。
ライはこの世界に来るまでを語り終え、一息ついたところで改めてジェイルの方に目を向ける。
「これが僕の過去だ」
「なるほど、実に興味深い話ではあった」
「……」
「だが、肝心の部分がまだ語られていない。君がこの世界に来た要因と思われる、君とこの世界との接点を君は口にしていない」
その言葉にライは頷いて返し、自身の考えを口にした。
「先に語ったとおり、僕がいた世界にもこの世界にもCの世界……正確には集合無意識というものは存在する。そして僕はその集合無意識に接続、干渉できる数少ない存在だった」
ライの説明通り、彼は元の世界で出生や生い立ち以外も特殊な存在である。Cの世界で長期間眠り続けることで、コードを持たずに集合無意識に生身で干渉することができるのだ。
これはギアスやコードというものを深く理解していたシャルル・ジ・ブリタニアもできなかったことだ。彼の皇帝もコードを手に入れるまでは『アーカーシャの剣』を使うことでそれに干渉していたのだから。
「だが、その能力にも使用条件はある。元の世界で遺跡として残っていたようにCの世界に直接入り込む出入り口。そこに行くことで初めて本当の意味で集合無意識に干渉が出来るようになる」
これは一部が本当で一部が嘘である。
実は六課のメンバーに過去を見せた時から、限定的ではあるが意識的にライは自分の精神をCの世界に自由に接続できるようになっていた。その際にライは、負担は大きいのだがそれをすることで“ある副産物”を得ることも出来るようになる。そのことについて、ライは六課メンバーにも言っていない。それ
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