暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百六十一話 別離
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
帝国暦452年生まれの33歳、つまりは宇宙暦761年生まれで、俺と同じ年だな」

先輩と同じ年で中将しかもフォン持ち、貴族と言う訳か。

「貴族にしては、非常に出来る人材と思えるのですが」
私の疑問を先輩が氷解してくれる。
「それは其処、元々は平民階級出身で皇帝の肝いりで帝国騎士に叙爵されたらしい」

「成るほど、新貴族と言う訳ですか」
「その様だな、調べた所、ケスラー中将は辺境のクライゲント出身で士官学校卒業後に憲兵隊へ所属し、あのサイオキシン麻薬事件の際の主任捜査官を務めたらしい」

サイオキシン麻薬事件と言えば、同盟にも影響のあったあの事件か。
「しかし、憲兵隊出身者が艦隊司令というのは」
「腑に落ちないと言う考えか」
「ええ」

「その辺だが、どうやら第五次イゼルローン攻略戦で、トールハンマーが味方殺しをした際に直前で上昇して難を逃れた艦隊があったろう」
「ええ、見事なタイミングでしたが、まさかあの艦隊が」

「そうらしい、あの艦隊の指揮官が当時代将のケスラー大佐だったようだ」
本部長は苦い思い出なのか、皺を寄せながら私に話しかけてくる。
「なるほど、あの動きとタイミングは見事でしたから、それで艦隊司令官に」

「その様だな、そのせいか、皇帝の元侍従武官で現憲兵隊総監グリンメルスハウゼン上級大将の高級副官も務めているらしい」
「尤も、グリンメルスハウゼン上級大将は七十代後半の昼行灯で、実際に憲兵隊を動かしているのはケスラー中将らしいが」

「あの攻撃は、とても艦隊戦を知らない人物とは思えませんから、相当な人物です」
「情報部としても、ケスラー中将には多大なる関心を持っている」

「それと、ケスラー艦隊の前衛を務めた黒い艦隊だがな、指揮官はフリッツ・ヨーゼフ・フォン・ビッテンフェルト少将、彼も新貴族だ、艦隊名は黒色槍騎兵艦隊( シュワルツ・ランツェンレイター)と言うそうだ。この艦隊名はテレーゼ皇女の肝いりで名付けられたそうだ」

「そう言う事は、皇女のお気に入りと言う訳ですか」
「その様だな、皇女としてみれば、お気に入りの寵臣に艦隊を預けたつもりだろうが」
「それが図に見事にはまった訳だな」

本部長も先輩もそう言うが、皇女がその人物の鑑定をして司令官に推挙したとしたら?しかし相手は未だ十四歳ユリアンと殆ど変わらない年齢で其処まで考えつくだろうか?やはり私の考えすぎだろうか?

「厄介な敵が出てきましたね」
「その通りだな、これからは帝国がどう出るかが問題だ」
厄介な敵が出てきた、果たして戦局のどう影響するのだろうか、ユリアンが戦争に行かないような世界が来て欲しいものだ。





宇宙暦794年6月12日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 統合作戦本部
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ