第五十五話 刃の使い方その六
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「しかしこの剣は普通ではありません」
「力を使う剣か」
「だからこそ」
それ故にだというのだ。
「これで終わりではありません」
「そういうことか」
「そうです、むしろ」
スペンサーの口調が変わった、強くなった。
そのうえで剣を握る手に力を込めた、するとだった。
剣の上に立つ加藤の全身に凄まじい重力がかかった、その重力を受けてだった。
加藤の身体がきしむ、そして動けなくなり。
押し潰されそうになる、その中でだった。
「これは」
「蜘蛛の巣ですね」
「入ればそれでか」
「終わりです。私も今気付きましたが」
今の二人の状況はそれになるというのだ。
「それですね」
「重力でこのまま押し潰すか」
「さて、もう逃げられませんが」
形勢逆転、それがスペンサーの口から言われる。
「どうされますか」
「降伏か、死か」
「そのどちらを選ばれますか」
動けなくなり身体の全身がきしむ音を立てる加藤への問いだ。
「私としては降伏を勧めますが」
「降伏勧告か」
「そうです」
まさにそれだった。
「それを行います」
「正式な降伏勧告はより複雑だったな」
「戦争においては」
こうしたことはまず国際条約に基き正規の軍服を着た軍人に対して行い交渉として行われるものだ、だが今は。
「貴方は軍服を着ていませんし軍人ではありません」
「見ての通りだ」
「そして正規の戦闘行為でもありません」
このことも違っていた。
「それではです」
「降伏をすることは出来ないか」
「本来は」
正式には、というのだ。
「それはなれません。ですが私の任務はプレジデントと一部の高官だけが知っている極秘事項です」
「戦争ではなく、だな」
「はい」
まさにそうだと答えるスペンサーだった。
「その通りです」
「つまりこの戦いでの降伏等の交渉は全て貴様次第か」
「実際に全ての権限、現場でのそれは私に一任されています」
戦う彼にだというのだ。
「そうなっていますので」
「俺を今ここで生かすも殺すも貴様次第か」
「極論すればそうなります」
「成程な、事情はわかった」
「おわかり頂き何よりです、では」
加藤に対してあらためて問う。
「どちらにされますか」
「降伏か、死か」
「そのどちらに」
「俺は戦うことが好きだ」
これが加藤の返答だった。
「降伏も死も選ばない」
「そういうことですか」
「そうだ、降伏はしない」
はっきりとスペンサーに答える。
「そして死ぬこともない」
「残念ですね。私は軍人ですが人を殺すことは好きではありません」
「軍人は人を殺す仕事じゃないのか」
「極論すればそうですね」
「それでもか」
「戦争はないに越したことはありませんし」
それにだっ
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